『ゴッド・ヘルプ・ザ・ガール』をめぐって

先日、新宿シネマカリテにて『ゴッド・ヘルプ・ザ・ガール(God Help the Girl)』という映画を観てきました。

スコットランド・グラスゴー出身のバンド、ベル・アンド・セバスチャン(Belle and Sebastian)のフロントマン、スチュアート・マードックの監督第一作。

マードックが2009年に発表した同名のアルバム『God Help the Girl』がベースになっており、彼は本作で脚本やサントラも担当しているとのこと。多才!

これまで特にベル・アンド・セバスチャンのファンという訳ではなかったのですが、予告編を見て何となく惹かれてしまい、ふらふらと映画館へ。

偶然サービスデーだったこともあり、映画館は満員で、最後の一席に滑り込むことができました。

映画のストーリーはシンプル。心を病んで入院している主人公のイブという女の子が、病院から抜け出して、ジェームズとキャシーという二人の仲間に出会い、音楽活動を始めるというもの。

人間関係にまつわるドラマが前面に出てくることはなく、あくまでキラキラした音楽とファッションが映画の主役。

ディテールに至るまで監督の趣味が100%全開で、こんな映画を一本作ることができたら、もう思い残すことはないのではないかと。

ある一線を越えてしまうと、映画として優れているとかいないとか、そういうアーティスティックな価値観はどうでもよくなってしまい、ただ好きか嫌いかしか残らないという、そんなことを考えさせられた一本でした。(これは褒め言葉です。念のため。)

また監督が影響を受けたと公言しているザ・スミス(The Smiths)へのオマージュなのか、主人公のイブを演じるエミリー・ブラウニングがスミスの「Meat is Murder」のTシャツを着て、踊っているシーンもあったりします。

数年前に公開された『(500)日のサマー』もそうだったように、この頃スミスに言及する作品って多いなあという印象。

キャシーを演じたハンナ・マリーがスミスの「How soon is now?」のミュージックビデオに出てくる女の子にそっくりだと思ったのは私だけでしょうか?