フィンランド語学習記 vol.314 − 複数分格の使い方

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ここ数回のフィンランド語教室では、複数分格の使い方や作り方を扱っています。

複数分格というのは、日本語や英語に同等の概念がないこともあり、そもそも何を表わしているのかがわかりにくい文法項目だと思います。

今回は導入編ということで、複数分格の使い方を見ていきましょう。

 

【A olla B の文】補語において

[単数]Tulppaani on punainen.(チューリップは赤い。)
[複数]Tulppaanit ovat punaisia.(チューリップは赤い。)
*tulppaani(チューリップ)、punainen(赤い)

上の文ではチューリップがぽつんと一本、下の文では何本か咲いているイメージ。

このとき、上の文では主語の tulppaani、補語の punainen ともに主格の形になっています。

一方、下の文では主語の tulppaanit は主格の形ですが、補語の punaisia は分格の形になっています。

単数主格 Tulppaani 単数主格 punainen
複数主格 Tulppaanit 複数分格 punaisia

 

つまり(数えられる)主語が複数になると、補語は分格の形になるということ。これは補語が名詞の場合も同様。

Olen suomalainen.(私はフィンランド人です。)
Olemme suomalaisia.(私たちはフィンランド人です。)

理屈ではなかなか割り切れないので、とりあえずこの形に慣れるよりほかなさそうです。

 

【存在文】主語において

A olla B の文 存在文
[単数] Auto on kadulla.
(車が通りにとまっている。)
Kadulla on auto.
(通りに車がとまっている。)
[複数] Autot ovat kadulla.
(車が通りにとまっている。)
Kadulla on autoja.
(通りに車がとまっている。)

*auto(車)、katu(通り)

こちらもさきほどのチューリップの文と同様、上の文では車がぽつんと一台、下の文では何台かとまっているイメージ。

このとき、上の文では主語の auto は主格の形になっています。

一方、下の文では主語の autot / autoja が A olla B の文においては主格の形、存在文においては分格の形になっています。

単数主格 auto 単数主格 auto
複数主格 autot 複数分格 autoja

 

つまり同じ複数の主語であっても、文型によって主格になったり、分格になったりするということ。

もともと存在文というのは動詞が三人称単数の形になるので、その後に autot を持ってきたらおかしいという感覚はあります。

とはいえ、これも慣れるのはなかなか大変そう。

 

以上、今回は複数分格の代表的な使い方を紹介してみました。

次回はこの複数分格の作り方を見ていきたいと思います。