フィンランド語学習記 vol.315 − 複数分格の作り方(1)

photo credit: Chruch House via photopin (license)

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前回のエントリーでは、複数分格というのがいったいどんなときに使われるのかを簡単に紹介しました。

フィンランド語学習記 vol.314 − 複数分格の使い方

続いて今回は、複数分格の作り方を扱ってみたいと思います。

複数分格のもとになる複数語幹の作り方(母音交替のルール)は以前のエントリーにまとめてあります。

よって今回はフィンランド語教室で使っているテキスト「suomea suomeksi」の練習問題を解きながら、もう一度母音交替のルールもおさらいしていきたいと思います。

今回は以下の表現を複数分格の形に直してみます。

iso talo(大きな家)
kesy karhu(おとなしい熊)
oma kuva(自分の絵)
vanha laiva(古い船)

 

iso talo(大きな家)

iso talo 1)単数語幹を求める(=そのまま) iso talo
iso talo 2)複数の印[i]を置く isoi taloi
isoi taloi 3)[i]の前に来る母音が[u][y][o][ö]のときは、母音交替なし isoi taloi
isoi taloi 4)単数語幹が1つの母音で終わるときには、分格語尾[-a/-ä]を付ける isoia taloia
isoia taloia 5)母音が3つ並んだ場合(複数の印[i]が母音で挟まれた場合)は[i]が[j]に変わる isoja taloja

 

結局は辞書形に[ja]を付けただけなのですが、手順はなかなか複雑ですね。

 

kesy karhu(おとなしい熊)

kesy karhu 1)単数語幹を求める(=そのまま) kesy karhu
kesy karhu 2)複数の印[i]を置く kesyi karhui
kesyi karhui 3)[i]の前に来る母音が[u][y][o][ö]のときは、母音交替なし kesyi karhui
kesyi karhui 4)単数語幹が1つの母音で終わるときには、分格語尾[-a/-ä]を付ける kesyiä karhuia
kesyiä karhuia 5)母音が3つ並んだ場合(複数の印[i]が母音で挟まれた場合)は[i]が[j]に変わる kesyjä karhuja

 

手順はさきほどの iso talo と同じ。ただし kesyjä の[ä]に点々を付けるのを忘れずに。

 

oma kuva(自分の絵)

oma kuva 1)単数語幹を求める(=そのまま) oma kuva
oma kuva 2)複数の印[i]を置く omai kuvai
omai kuvai 3)[i]の前に来る母音が[a]のときは、
3ー1)音節の数を数える → 2音節
3ー2)単語の最初の母音を見る →[o][u]
→ 2音節の単語で、最初の母音が[o][u]のときには[i]の前の[a]が消える
omi kuvi
omi kuvi 4)単数語幹が1つの母音で終わるときには、分格語尾[-a/-ä]を付ける omia kuvia

 

(3)の手順で[i]の前に[a]が来たときには、(3ー1)音節の数を数える、(3ー2)単語の最初の母音を見る、という二つの追加手順が必要になります。

*(3ー1)3音節以上の場合については、次回以降のエントリーで扱います。

*(3ー2)[o][u]以外のときにどうなるかは、次の vanha laiva の項にて。

 

vanha laiva(古い船)

vanha laiva 1)単数語幹を求める(=そのまま) vanha laiva
vanha laiva 2)複数の印[i]を置く vanhai laivai
vanhai laivai 3)[i]の前に来る母音が[a]のときは、
3ー1)音節の数を数える → 2音節
3ー2)単語の最初の母音を見る →[a][a]
→ 2音節の単語で、最初の母音が[o][u]以外のときには[i]の前の[a]が[o]に変わる
vanhoi laivoi
vanhoi laivoi 4)単数語幹が1つの母音で終わるときには、分格語尾[-a/-ä]を付ける vanhoia laivoia
vanhoia laivoia 5)母音が3つ並んだ場合(複数の印[i]が母音で挟まれた場合)は[i]が[j]に変わる vanhoja laivoja

 

複数分格の作り方の中では、この vanha laiva → vanhoja laivoja とさきほどの oma kuva → omia kuvia の区別がポイントの一つ。

まずはここをしっかり押さえておきたいと思います。