フィンランド語学習記 vol.317 − 複数分格の作り方(3)

一昨日・昨日のエントリーの続きです。

フィンランド語学習記 vol.315 − 複数分格の作り方(1)

フィンランド語学習記 vol.316 − 複数分格の作り方(2)

今回は以下の表現を複数分格の形に直してみます。

mukava satama(気持ちのよい港)
ikävä elämä(寂しい人生)
pimeä kahvila(暗い喫茶店)

 

mukava satama(気持ちのよい港)

mukava satama 1)単数語幹を求める(=そのまま) mukava satama
mukava satama 2)複数の印[i]を置く mukavai satamai
mukavai satamai 3)[i]の前に来る母音が[a][ä]のときは、
3ー1)音節の数を数える → 3音節
→ 3音節の単語で、語末が[va][vä]のときには[i]の前の[a][ä]が消える
→ 3音節の単語で、語末が[ma][mä]のときには[i]の前の[a][ä]が消える
mukavi satami
mukavi satami 4)単数語幹が1つの母音で終わるときには、分格語尾[-a/-ä]を付ける mukavia satamia

 

3音節の単語においては、

  • [i]の前の[a][ä]が消えるパターン
  • [i]の前の[a][ä]が[o][ö]に変わるパターン

以上の二通りの変化があります。語末の形によって、どちらのパターンになるのかが決まります。

 

ikävä elämä(寂しい人生)

ikävä elämä 1)単数語幹を求める(=そのまま) ikävä elämä
ikävä elämä 2)複数の印[i]を置く ikäväi elämäi
ikäväi elämäi 3)[i]の前に来る母音が[a][ä]のときは、
3ー1)音節の数を数える → 3音節
→ 3音節の単語で、語末が[va][vä]のときには[i]の前の[a][ä]が消える
→ 3音節の単語で、語末が[ma][mä]のときには[i]の前の[a][ä]が消える
ikävi elämi
ikävi elämi 4)単数語幹が1つの母音で終わるときには、分格語尾[-a/-ä]を付ける ikäviä elämiä

 

[a]と[ä]の違いはあるものの、基本的な流れはさきほどの mukava satama と同じ。

2音節の単語においては[a]と[ä]を区別しなければなりませんでしたが、3音節になると区別しなくてよいというのは、簡単なのか、それともややこしいのか。。。

 

pimeä kahvila(暗い喫茶店)

pimeä kahvila 1)単数語幹を求める(=そのまま) pimeä kahvila
pimeä kahvila 2)複数の印[i]を置く pimeäi kahvilai
pimeäi kahvilai 3)[i]の前に来る母音が[a][ä]のときは、
3ー1)音節の数を数える → 3音節
→ 3音節の単語で、語末が[ea][eä]のときには[i]の前の[a][ä]が消える
→ 3音節の単語で、語末が[la][lä]のときには[i]の前の[a][ä]が[o][ö]に変わる
pimei kahviloi
pimei kahviloi 4ー1)単数語幹が2つの母音で終わるときには、分格語尾[-ta/-tä]を付ける
4ー2)複数語幹が[oi][öi]で終わるときには、分格語尾[-ta/-tä]を付ける
pimeitä kahviloita

 

おそらくこれまでで一番複雑な変化。

原理原則として、

1)単数語幹が1つの母音で終わるときには、分格語尾[-a/-ä]を付ける
2)単数語幹が2つの母音で終わるときには、分格語尾[-ta/-tä]を付ける

というルールがあるのに、そこへ、

3)複数語幹が[oi][öi]で終わるときには、分格語尾[-ta/-tä]を付ける

というルールが割り込んでくるのは、かなりやっかい。さきほどの kahvila の場合は、

[単数語幹]kahvila

なので、(1)のルールを適用したくなりますが、

[複数語幹]kahviloi

なので、(3)のルールが上書きされます。

結果、複数分格は kahviloja ではなく kahviloita となりますので、気を付けましょう。