じぶん、てめえ、おのれ
日本語には実に様々な一人称代名詞があります。
思い付くままに挙げてみれば「あたし、おいら、おれ、ぼく、わし、わたくし、わたし」などなど、
そんな仲間の一つに次の単語を入れてあげてもよいでしょう。
じぶん【自分】
- おのれ。自身。自己…
- わたくし。われ。
「広辞苑 第五版」
ただしこの「自分」という単語には、他の一人称代名詞とは異なる大きな特徴が一つ。
それは(主に関西で)二人称の意味で使われることもあるということ。
自分、いったい何やっとんねん!
みたいな表現ですね。
このように一つの代名詞が一人称と二人称の両方になるというのはかなり不思議な現象。
他にもこういう単語はないだろうか?と思って探してみると、、、
てめえ【手前】
- 自分。わたくし。
- 相手を卑しんでいう語。おまえ。
「広辞苑 第五版」
おのれ【己】
- (一人称)わたくし。われ。
- (二人称)目下の者に、または人をののしる時にいう。きさま。こいつ。
「広辞苑 第五版」
もし日本語を外国語として学んでいる人が、これらの単語の意味を知ろうとして辞書を引いたら、おそらく混乱してしまうのではないでしょうか。
一人称と二人称がこんな風に重なっているというのは、いったいどういうことなのか、とても説明できそうにはありません。
世界の数ある言語の中に、こんな表現を持っている言語は果たして他に存在するのでしょうか?