フィンランド語学習記 vol.22 − 文末焦点のはなし

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フィンランド語教室11週目のレポート。

年明けの1回目。3週間ぶりの教室です。

市ヶ谷駅前の「パク森」で「パク森カレー」を食べてから向かいました。ここのカレーは絶品で、時間に余裕があるとついつい立ち寄ってしまいます。

まあそれはよいとして、今回は休み明けということもあり、これまでの復習を主に行いました。その中から、次の一文の構造を考えてみたいと思います。

Tuolilla on kissa.(イスの上にねこがいます)

単語の意味は下記のとおり。

tuoli(イス)
tuolilla(イスの上に)
*tuoli に「〜の上に」を表す格語尾[-lla]が付いた形
on(〜がある)
kissa(ねこ)

さて、ここで面白いなと思ったのは、Tuolilla on kissa. の語順です。

まず「イスの上に」が来て、次に「ねこがいます」が来る。日本語と同じ順番なので、生理的にしっくりくるような気がしませんか。

ただしこの文は語順を入れ替えて、Kassi on tuolilla. と言うこともできるようです。二つの文を比較してみましょう。

Kissa on tuolilla.(ねこはイスの上にいます)
Tuolilla on kissa.(イスの上にねこがいます)

この二つの文の違いは何でしょうか?

日本語訳をじっと見ると、たった一文字だけ異なる部分があります。

Kassi on tuolilla.(ねこイスの上にいます)
Tuolilla on kassi.(イスの上にねこいます)

「は」と「が」の違いですね。

文法的に説明すると、日本語の助詞「は」は既知の情報(旧情報)、「が」は未知の情報(新情報)を導くという性質があります。わかりにくければ、それぞれの文を答えとする質問文を想定してみましょう。

[問1]ねこはどこにいますか?
[答1]ねこはイスの上にいます。
[問2]イスの上には何がいますか?
[答2]イスの上にはねこがいます。

[答1]ではねこが存在することは既知の情報ですので「は」を付け、[答2]ではねこが存在することは未知の情報ですので「が」を付けます。

そして、それぞれの文でポイントになる部分(一番伝えたい部分)はアンダーラインの部分です。

言語で伝えたい部分は通常文末に来ることから、これを文末焦点の原則と呼んだりします。

日本語の「は」と「が」は、この情報の流れに関して、非常に重要な役割を担っているのですが、ネイティブである私たちはもちろん意識して使い分けている訳ではありません。

しかし日本語を外国語として勉強している人にとっては、これはかなり厄介なルールなのでしょう。

フィンランド人の先生も「は」と「が」の使い分けはホント難しいねえとおっしゃっていたのが印象に残りました。

英語ではこの違いを冠詞(a, the)で表すため、冠詞のない国から来た人には余計難しく感じるのかもしれません(フィンランド語には冠詞がない)。もちろん私たちは格変化を覚えなければならないので、お互い様といったところでしょうか?