コクについて
何となくわかっているようで、いざ意味を聞かれると答えに詰まってしまう、そんな言葉があります。
例えば「このビールにはコクがある」などというときの「コク」。
「コクがある」というのは、結局「味が濃い」ということなのか「旨味がある」ということなのか、あるいはそれらを総合して「おいしい」ということなのか、はっきりと定義するのが難しい言葉ではないでしょうか。
そんなときには手元の辞書を開いてみましょう。
こく【酷】
- (本来、中国で穀物の熟したことをあらわしたところから)酒などの深みのある濃い味わい。「ーがある」
- むごいこと。ひどいこと。「ーな練習」「残酷・酷使」
- はげしいこと。はなはだしいこと。「酷寒・酷似」
「広辞苑 第五版」
まずびっくりしたのは「コク」の漢字が「酷」であるということ。残酷の「酷」と同源の言葉なんですね。
それはさておき広辞苑の語義によると、コクがあるというのは「深みがある」「濃い」という定義になっています。
こく
〔形容詞「濃い」の連用形の名詞用法からか。また、「酷」からとも言う〕その物のよさがちょっと味わっても分かるほど凝結されていること。「ーの有る酒(文章)」
「新明解国語辞典 第七版」
一方、新明解では「コク=酷」というのをあくまで一つの説として紹介しています。
「その物のよさがちょっと味わっても分かる」という定義は、コクというものの性質を言い得て妙だと思いました。
あなたにとっての「コク」とはいったいどんな味わいでしょうか?
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