quoth

英語は語順の言語であるというのはよく言われること。

格助詞のある日本語や格変化のあるフィンランド語のように、語順を自由に変えることはできません。

言語類型論によれば、英語は SVO 型(主語ー動詞ー目的語)に属します。

この順番は絶対のようにも思えますが、古英語の時代にはこんな動詞もありました。

quoth

(古語)…と言った;いわく…

(1人称・3人称直接法過去形で主語の前に置く)

Quoth I, “Oh, Lord.”

「神よ」と私は言った。

「アンカーコズミカ英和辞典」

まず「主語の前に置く」動詞などというものが存在していたことにびっくり。

調べてみると、この quoth という動詞はもともと quethe という動詞の過去形だったようですが、原形の quethe はほとんど廃語になっているよう。

実際、さまざまな学習英和辞典を見ても、quoth はのっていますが、quethe はのっていないというケースがほとんど。

過去形だけが生き残った動詞というのも非常に珍しいのではないでしょうか。

英語圏の人にとっての quoth と言えば、エドガー・アラン・ポー(Edgar Allan Poe)の大鴉(The Raven)という詩の一節、

Quoth the Raven “Nevermore.”

が有名。古語である quoth が詩の格調高い雰囲気を生み出すのに貢献しています。

探せば他にもこういう動詞はあるのかもしれませんが、とりあえずこれは珍しい!と思ったので、ここに書き留めておきます。

 

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