『発音記号の正しい読み方』中村駿夫著

通勤途中にいつも通る書店をのぞいてみたら、英語本のコーナーに珍しい本が平積みになっていました。

発音記号の正しい読み方

いかにも古めかしい表紙デザイン。奥付を見てみると、何と初版は1959年!

50年以上も版を重ねているということは、きっと素晴らしい本に違いない。そう思い、購入してみることにしました。

内容は中学生向けに発音記号の読み方をやさしく解説したもの。全部でわずか32ページの小冊子です。

一つ一つの項目を読みながら、そうそう、昔はこういう説明を読みながら練習したなあ、と懐かしい気持ちになりました。

せっかくなので、本書の項目から子音と母音を一文字ずつ紹介してみましょう。

θ

【発音の仕方】上の歯の先に舌先を軽く当て、その間から「いき」を出す。

〔注意〕[θ リー]が[s リー]とならないように舌先を上の歯の先に忘れないでつけること。

θ というと歯と歯の間に舌先を入れるようなイメージがありましたが、本書では「上の歯の先に舌先を当てる」と説明されています。言われてみれば、そちらの方が簡単なのかもしれませんね。

æ

【発音の仕方】口を大きくあけ、唇を横に引いて、「ア」と「エ」を同時にいう気持で「ア」と発音する。

〔注意1〕[mæn]は[m エア n]、[bæd]は[b エア d]と発音するように努めた方がよい。(もちろん、[エア]は同時にいうのである。)しかし、行き過ぎて[ミャン][ビャッド]のようになってはいけない。

〔注意2〕[æ]は英語にはたびたび出てきて、しかも、われわれには発音しにくい音であるから、これが正しく発音できるといかにも英語らしい発音になってくる。充分練習しよう。

これはおそらくオーソドックスな説明。ただ注意1の「行き過ぎて[ミャン][ビャッド]のようになってはいけない。」という補足が面白いですね。また注意2の「いかにも英語らしい発音になってくる」というコメントにも味わいがあります。

こんな感じで発音記号の読み方を改めて確認しながら、ちょっと懐かしい気持ちに浸ることのできる本書。

大人になって、英語のやり直しに取り組んでいる人におすすめの一冊だと思います。

 

発音記号の正しい読み方
中村駿夫
昇龍堂出版
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