『バーナード嬢曰く。』
読書をめぐるギャグ漫画『バーナード嬢曰く。』全2巻を一気読み。本好きのツボをぐいぐい突いてくる傑作でした。
主人公の町田さわ子は、自分をいかにして読書家に見せるかに心血を注いでいる高校生。劇作家のバーナード・ショーをもじって、自分のことを「バーナード嬢」と呼んでほしいと周囲に言っているものの全く相手にされていません。
本書の前半は作家の名言を紹介する名言漫画。
人生とは、病人の一人一人が寝台を変えたいという欲望に取り憑かれている、一個の病院である。
ボードレール『パリの憂鬱』
そして途中からは、名言に限らず本に関する幅広いテーマを扱う読書漫画という体裁になっていきます。
誰もが一度は考えたことがあるような読書を巡る様々な自意識が言語化されていて、読み進めている間「わかるわかる」と思うことのオンパレード。登場人物たちの丁々発止のやり取りにはとにかく笑ってしまいます。
おそらく本好きの人なら、主人公が図書室で知り合うSF好きの友人・神林しおりに共感する人が多いのではないでしょうか。
本書で一番好きなのは『さまぁ〜ずの悲しいダジャレ』という本を一生懸命にすすめる主人公の町田さわ子に、「見栄とか関係なく好きなモノを純粋に好きって言えるのは素晴らしい」と神林しおりが感動するシーン。
ギャグ漫画なのに、本書を読み終わったあとには「本そのものともう一度真剣に向き合ってみよう」と思えてくるから不思議なもの。書店で見かけたら、ぜひ一度手に取ってみてください。
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