egoism, egotism

16110401

あいつはエゴイストだ。
それはエゴイズムにすぎない。

このように、すっかりカタカナ語としての市民権を得ているエゴイズム。

このエゴイズムについて、Bill Bryson の『Troublesome Words』という本の中にこんな記述がありました。

egoism, egotism. The first pertains to the philosophical notion that a person can prove nothing beyond the existence of his own mind. It is the opposite of altruism and is better left to contexts involving metaphysics and ethics. If all you wish to suggest is inflated vanity or preoccupation with the self, use egotism.

『Troublesome Words』Bill Bryson

これによると、egoism というのは「自分の精神以外に人が存在を証明できるものはない」という意味の哲学用語。一方の egotism というのは「うぬぼれ、自己中心主義」という意味。

この説明の通りなら、日本語でよく言うエゴイズムというのは egotism の方に近いのかなと思います。

念のため、いくつかの辞書を引いてみたのですが、この二つを明確に区別していない辞書も多くありました。

唯一、この区別に触れていたのがランダムハウス。

egotism 自己欲が強く自分の優位性に関心を持つ性向

egoism 哲学的、倫理的な意味で自己中心的な考え方を指す

「ランダムハウス英和大辞典 第2版」

これは冒頭の引用にぴたりと一致します。

おそらく egoism を egotism との比較で厳密に定義すればこのような意味になるのでしょう。

ただ egoism = egotism のように書いてある辞書もあり、その境界線はあいまいになってきているのかもしれません。

いずれにしても非常に紛らわしい言葉であることはたしかですね。

 

Troublesome Words
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