Kは、単語の先頭にくるときと三番目にくるときでは、どちらが多いでしょうか?

photo credit: danieleloreto Casa dolce casa via photopin (license)

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アメリカの心理学者ダニエル・カーネマンの『ファスト&スロー』の冒頭に予測可能性とバイアスに関するいくつかの心理学実験が出てきます。ある実験では、被験者に次のような質問がなされたとのこと。

Kという文字を思い浮かべてください。Kは、単語の先頭にくるときと三番目にくるときでは、どちらが多いでしょうか?

みなさんの答えはどちらでしょう?

??

しばらく考えてみたのですが、どちらが多いかを考える前に、そもそもKが三番目に来る単語が思い付きません。

あまりにも思い付かないので、辞書をめくってみたら cake や take など、馴染みの単語がいくつか見つかりました。なぜこんな簡単な単語を思い付かなかったのでしょう?

そんな不思議な実験の結論は次のようなもの。

スクラブル(単語並べゲーム)をやったことのある人なら誰でも知っているように、ある特定の文字で始まる単語を思い浮かべるほうが、その文字が三番目にくる単語を探すよりはるかに容易である。これは、アルファベットのどの文字についても言えることだ。したがって被験者は、K、L、N、R、Vのように三番目にくる頻度のほうが高い文字についても、単語の先頭にくる頻度を過大評価すると予想できる。

実際には、Kが一番目に来る単語よりも、三番目に来る単語の方が多い。ただしKが三番目に来る単語というのは思い浮かべるのが難しいため、多くの人はKが一番目に来る単語の方が多いと判断してしまう。

人間の認知の盲点を突いた面白い実験ですね。

たださきほどの引用でも言及されているスクラブルの経験が豊富な人などは、このあたりの感覚が常人よりも発達しているのかもしれません。

例えば一文字の得点が高いJ、Q、X、Zあたりの出現パターンを熟知していれば、より高得点が取れるようになるのでしょうか?

 

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