漢字の中の女性

photo credit: DailyPic Woman resting in bed via photopin (license)

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ことばは、さまざまな理由で時代とともに移り変わっていきます。

例えば、過去に「看護婦・看護士」と呼ばれていた職業は、現在「看護師」に統一されています。

同様に「保母・保父」も「保育士」に統一されました。

このような人の職業を表すことばというのは、ポリティカル・コレクトネスの観点から、この数十年でいろいろと変化したように思います。

ただし日本語にはこのような変化の及ばない保守的な世界が一つあります。それは漢字の世界。

例えば、次の表現はどうでしょう。

かしましい【姦しい】

なんにんかのしゃべり声がして、うるさい。

「新明解国語辞典 第七版」

語義では「なんにんかのしゃべり声」となっていますが、うるさくしているのは男性でしょうか、女性でしょうか。

「姦」という漢字は女性差別だから、別の漢字に変えるべきだ!

、、、という議論はもしかしたらあるのかもしれませんが、少なくとも実際に漢字を変更するという事態には至っていません。

またここまであからさまな例ではなくても、私たちは日常的に次のような漢字を使っています。

姉・妹・妻・姑・妾・姪・娘・嫁・婆

ただ意味の上でこれらの対になる漢字には必ずしも「女」という字が入っている訳ではありません。

*調べてみたら「舅・甥」にのみ、男が入っていました。

そもそもおんなへんという部首はあるのに、おとこへんという部首は存在しないようです。

この非対称性はいったい何に由来しているのか?

なぜ女性「性」だけが明示されなければならないのか?

こういった漢字のあり方が私たちの深層意識に何らかの影響を及ぼしている可能性はあるのか?

そんなことを一度じっくりと考えてみるのもおもしろいのかもしれません。