母音交替は何のため?

photo credit: Glechikoff Andre intense relaxation via photopin (license)

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フィンランド語の kissa(ネコ)という単語の複数分格は次のような手順で作ります。

kissa 1)単数語幹を求める(=そのまま) kissa
kissa 2)複数の印[i]を置く kissai
kissai 3)[i]の前に来る母音が[a]のときは、
3ー1)音節の数を数える → 2音節
3ー2)単語の最初の母音を見る →[a][a]
→ 2音節の単語で、最初の母音が[o][u]以外のときには[i]の前の[a]が[o]に変わる
kissoi
kissoi 4)単数語幹が1つの母音で終わるときには、分格語尾[-a/-ä]を付ける kissoia
kissoia 5)母音が3つ並んだ場合(複数の印[i]が母音で挟まれた場合)は[i]が[j]に変わる kissoja

 

この[a]が[o]に変わる変化(母音交替)を見ると、母音交替というのはいったい何のためにあるのだろう?と考えてしまいます。

しかし母音交替という現象はフィンランド語に特有のものではなく、日本語にも存在します。例えば次のような表現を見てみましょう。

雨(あめ)+足(あし)=雨足(あまあし)
木(き)+陰(かげ)=木陰(こかげ)

「あめ」が「あま」になったり、「き」が「こ」になったり。ここで起こっているのは[e]→[a]、[i]→[o]という母音の変化です。

ただ「雨◯」「木◯」という熟語の全てにおいてこの変化が起こる訳ではありません。

雨風は「あまかぜ」ではなく「あめかぜ」ですし、木戸は「こど」ではなく「きど」です。

ここにはいったいどのような法則が隠されているのでしょう?

フィンランド語の母音交替を扱うときに音節の数を数えたり、単語の最初の母音を見たりするように、単語のここを見ればわかるというポイントがあるのでしょうか?

少しだけ考えてみたのですが、全く思い付かず。。。

日本語を学んでいる外国人はフィンランド語を学んでいる日本人と同じように、母音交替というのはいったい何のためにあるのだろう?と考えているのかもしれません。