二月は逃げ月
本日までは自宅療養期間。オイルヒーターで部屋をぬくぬくと暖めて、日がな一日、本を読んでいました。
それにしても気が付けば、すでに2月も3分の一が終わり。2月は28日しかないということもあり、毎年あっという間に過ぎ去ってしまうイメージがあります。
二月は逃げ月なんていう言葉もありますが、明日からの期間で2月のしっぽをつかまえることはできるでしょうか?
今回は療養中に読んだ本を三冊紹介してみたいと思います。
『家族最後の日』植本一子著
昨年の個人的ベスト本『かなわない』の著者・植本一子さんの新刊。相変わらず読み始めたら止まらなくなってしまい、あっという間に最終ページへ。
人の生死を扱っているので内容はもちろん重いのですが、前作と比べると、暗い道から少し明るい部屋へ抜けたような、そんな印象があります。それにしても人の日記を読むのはなぜこんなに面白いのでしょう?
『断片的なものの社会学』岸政彦著
著者が社会学調査の過程で出会った市井の人々の声を拾い上げたエッセイ。意味付けや解釈がなされないまま、様々なエピソードが並べられていて、その投げっ放しな感じが妙に心地よい感じ。
本書の後半、小さな町の喫茶店でオールバックの初老の男性がおそらく誰にもつながっていない携帯に向かって、片言の英語を呟きながら外国人の彼女と話しているふりをしているというシーンが何だか頭を離れません。
『東京を生きる』雨宮まみ著
東京という街にまつわる小説のようなエッセイ、あるいはエッセイのような小説。読み終わりたくないなーと思いながら、毎晩少しずつ読み継いできましたが、とうとうこの連休中に読み終えてしまいました。
言われてみれば自分の中にもたしかにそういう気持ちがある、心の奥深くにしまっていたはずの感情が次から次へと浮かび上がってきて、普段は会えないもう一人の自分と会うことができたような気がします。