No more Hiroshimas.

17050501

例えば、アメリカで銃の乱射事件が起こったとき。

デモ行進のニュース映像などで、次のようなフレーズを見ることがあります。

No More Guns
No More Violence

この例のように no more の後ろが可算名詞なら複数形、不可算名詞なら単数形になるのが通常の英文法のルール。

ただひとつ注意しなければならないのが次のようなケースです。

参考 No more Hiroshimas!

「広島の惨劇は繰り返すな」という意味なので、Hiroshimas と複数形になることに注意。人名でも No more Hitlers. と言えば、「ヒットラーのような独裁者をもう出すな」ということになる。No more Hitler. のように単数形を置くと、「ヒットラー(個人)にはもううんざりだ」という意味になる。

「ロイヤル英文法」

地名としての Hiroshima はもちろん不可算名詞ですが、ここでは「広島のような都市」という一般名詞に転用されているため可算名詞になっています。

ただネット上で調べた限り、実際の用例においては No more Hiroshima. のように単数形になっているものもありました。

もしかしたら英語のネイティブであっても、このような使い分けに無頓着な人もいるのかもしれません。

ただここで考えなければいけないのは、自分がもし広島の人間だったらどのように感じるのかということ。

改めてじっくり想像してみると No more Hiroshima. というフレーズは、やはり No more Hiroshimas. に比べて、広島の人たちに自分たちが枠の外に置かれたような感覚を与えるのではないでしょうか。

そういう意味では、ことばを扱う人間として、たった一つの[-s]の使い方もおろそかにはできないなと思うのです。

 
ロイヤル英文法改訂新版 ロイヤル英文法改訂新版
価格: ¥1,600(記事公開時)
カテゴリ: 辞書/辞典/その他, 教育
App Storeで詳細を見る