フィンランド語学習記 vol.473 − keritä

17052401

今回はフィンランド語の keritä(間に合う)という動詞について。

一見どこにでもある普通の動詞に見えますが、語形変化において二つの注意点があります。

 

ポイント1)[-itA]で終わるのに[AtA, OtA, utA]タイプの語形変化をする

通常[AtA, OtA, utA]で終わる動詞はタイプ4、[-itA]で終わる動詞はタイプ5に分類されます。

タイプ1 2つの母音で終わる動詞
タイプ2 [dA]で終わる動詞
タイプ3 [lA, nA, rA, stA]で終わる動詞
タイプ4 [AtA, OtA, utA]で終わる動詞
タイプ5 [itA]で終わる動詞
タイプ6 [etA]で終わる動詞

 

ただ keritä の場合は[-itA]で終わるのに、特例としてタイプ4に分類されるとのこと。

ここでは改めてタイプ4、タイプ5の動詞の基本的な活用を確認しておきましょう。

 

タイプ4=[AtA, OtA, utA]で終わる動詞

haluta(望む)
[語幹]halua

単数 複数
一人称 haluan haluamme
二人称 haluat haluatte
三人称 haluaa haluavat

タイプ4の動詞は語末の[t]を外すことで語幹が得られます。

 

タイプ5=[itA]で終わる動詞

tarvita(必要とする)
[語幹]tarvitse

単数 複数
一人称 tarvitsen tarvitsemme
二人称 tarvitset tarvitsette
三人称 tarvitsee tarvitsevat

タイプ5の動詞は語末の[A]を[se]に変えることで語幹が得られます。

 

今回の keritä はさきほどの haluta と同じタイプ4に分類されるそうなので、

keritä
→ タイプ4の変化なら語幹は → keriä
→ タイプ5の変化なら語幹は → keritse

語幹は keriä になるのだろう、と思いきや、、、

 

ポイント2)語幹を求める際に、無から[k]が現れる

まずは keritä の基本的な活用を見てみましょう。

keritä(間に合う)
[語幹] kerkiä

単数 複数
一人称 kerkiän kerkiämme
二人称 kerkiät kerkiätte
三人称 kerkiää kerkiävat

この語形変化はタイプ4と同じ。ただし語幹の中に[k]が一つ増えているのに注意が必要。

タイプ4の動詞には kpt 交替において弱形から強形への変化が起こるというルールがありました。

keritä の場合は、下表二番目の[k←×]に該当します。

強形 ←→ 弱形
kk ←→ k
k ←→ ×
uku ←→ uvu
yky ←→ yvy
nk ←→ ng
lke ←→ lje
rke ←→ rje
hke ←→ hje
pp ←→ p
p ←→ v
mp ←→ mm
tt ←→ t
t ←→ d
nt ←→ nn
lt ←→ ll
rt ←→ rr

 

まとめ

動詞 keritä の注意点をまとめておきます。

ポイント1)[-itA]で終わるのに[AtA, OtA, utA]タイプの語形変化をする
ポイント2)語幹を求める際に、無から[k]が現れる

なおフィンランド語教室のテキスト『suomea suomeksi 2』では次のような文の中に keritä が出てきました。

Mutta kerkiänköhän minä ennen neljää?
(でも4時前に間に合うかな?)

うっかり「kerkiänköhän って何?」なんて思ってしまったら、ここから辞書形の keritä に辿り着くのはかなり大変。

kerkiän という形もそのまま頭に入れておくのがベストでしょう。