暗闇を取り戻す

17080301

くらやみ[暗闇](名)

①光がなくて見えない〈こと/ところ〉。

②人目につかない〈こと/ところ〉。

「三省堂国語辞典 第七版」

照明が発達した現代の生活において、完全な暗闇に包まれる機会というのはほとんどありません。

五感の中でもとりわけ視覚への依存度が高い人間という生き物が暗闇を恐れるのは、ある意味自然なことなのだと思います。

そんな人間も眠るときには部屋を暗くしますが、完全に真っ暗にするのは苦手という人も多いのではないでしょうか。

そのため一般的なシーリングライトには豆電球(常夜灯)が付いているのが普通。私も眠るときにはいつも豆電球を付けていました。

しかし先日『SLEEP 最高の脳と身体をつくる睡眠の技術』という本を読んでいたら、この睡眠時の豆電球の使用に関するこんな研究が紹介されていてびっくり。

彼らは2歳未満の子ども479人を三つのグループに分けた。真っ暗のなかで寝る子ども、豆電球が一つついた状態で寝る子ども、電気をつけた状態で寝る子どもだ。その結果は恐ろしいものだった。 真っ暗のなかで寝た場合、将来的に近視になった子どもは10パーセントだったが、豆電球の部屋で寝た子どもは34パーセント、電気をつけた部屋で寝た子どもに至っては55パーセントが近視になったのだ。

『SLEEP 最高の脳と身体をつくる睡眠の技術』

いろいろと反論できそうな研究ではありますが、一つだけたしかなことは私たちの現在の生活が過剰な光に包まれているということ。

電灯が一般的に使われるようになったのは約150年前。それ以前はろうそくやランプなどで夜の明かりを確保していた訳ですから、その時代に生きていた人は現代の私たちよりも暗闇を身近に感じていたことは確かでしょう。

おそらくこの100年で私たちの「目」ほど酷使されるようになった器官は他に類を見ないはず。

この短期間で人体が劇的に進化するはずもないので、現代の夜の明るさが私たちの目に強い負荷を与えていることは間違いないでしょう。

そんなことを考えて、夜の明かりはできるだけ間接照明に、眠るときは部屋を真っ暗にするようにしたら、心なしか目が疲れなくなり、眠りも少しだけ深くなったような気がします。

 

SLEEP 最高の脳と身体をつくる睡眠の技術
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