『希望のかなた』アキ・カウリスマキ監督

17120601

今日12月6日はフィンランドの100回目の独立記念日。

だからという訳ではないのですが、渋谷のユーロスペースでアキ・カウリスマキ監督の新作『希望のかなた(原題:Toivon tuolla puolen)』を観てきました。

前作の『ル・アーヴルの靴みがき』を観たのは2012年のこと。前作の舞台はフランスだったので、フィンランドが舞台の作品ということになると、そのまた前作の『街のあかり』以来ということになります。

物語はシリアからの難民カーリドと彼を助けるレストランオーナーのヴィクストロムの二人を軸に進行します。

ストーリーだけを見れば、現在の世界を取り巻く不寛容への批判とヒューマニズムに満ちた、ストレートなメッセージ性のある映画ということになるのでしょう。

とはいえ、いつものカウリスマキ映画と同じように、物静かな登場人物たちが飄々と隣人のために行動する、その描写に押し付けがましさはありません。

物語はカーリドが妹のミリアムを迎えるハイライトから、ちょっと投げ出されたようにも感じるオープンエンディングまで流れるように進みます。

フィンランド歌謡曲(?)のバンド演奏やくすりと笑ってしまうようなユーモアなど、いつものカウリスマキ節も健在です。(詳細は伏せますが、すしとわさびの日本ネタのシーンがいちばんツボでした。)

また久しぶりに観た35mmフィルムの映像はとても美しく、映画館ならではの余韻に浸ることができました。ユーロスペースでのフィルム上映は12/17(日)までということなので、行く予定のある人はそれまでに行ってみてはどうでしょうか。