「眠い」と「眠たい」の違いとは?(4)
「眠い」と「眠たい」の違いに関するエントリーの最終回です(ホントです!)。
昨日のエントリーでは、
「眠い」と「眠たい」の他に「〜い」と「〜たい」のペアになる形容詞はあるのか?
あるとすれば、そのペアに意味の違いはあるのか?
というテーマを扱いました。
辞書アプリの後方一致検索で調べたところ「〜い」と「〜たい」のペアになる形容詞には「重い・重たい」と「煙い・煙たい」の二組があり、昨日はそのうち「重い・重たい」について考えてみました。
今日はせっかくなので、もう一組の「煙い・煙たい」について考えてみたいと思います。
けむい[煙い](形)
→けむたい①。〔「けぶい」とも〕
「三省堂国語辞典 第七版」
けむたい[煙たい](形)
①けむりが顔にかかって息苦しい。けぶたい。けむい。
②その人がいるために、きゅうくつな気持ちだ。けむったい。
「三省堂国語辞典 第七版」
「煙い」の語釈を見ると、いきなり「→けむたい」となっています。
では「煙い」と「煙たい」はやはり同じ意味なのでしょうか?
昨日扱った「重い・重たい」の比較において、「重たい」は感情の言葉であると書きました。
その軸で考えると「煙い・煙たい」の比較においても「煙たい」の方が感情的であると言える気がします。例文で検証してみましょう。
B:家の中が煙たい。
このように並べてみると、Aは状況の説明、Bは不快の表明という対比が成り立つように思います。(もちろん文脈によって実際の意味は変わるでしょうが。)
また「煙たい②」の「その人がいるために、きゅうくつな気持ちだ」という意味の「煙たい」は「煙い」に置き換えることができません。
この意味の「煙たい」というのは基本的に不快の表明であり、状況の説明ではないので、「煙い」に置き換えることができないというのも納得です。
なおこの項のもともとのテーマである「眠たい(nemutai)」と「煙たい(kemutai)」は音にすれば子音一つの違いしかありません。
意味は違っても「やっかいだなあ」という感情の質には重なり合うものがあるのではないでしょうか。
三省堂国語辞典 第七版
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カテゴリ: 辞書/辞典/その他, 教育
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