フィンランド語学習記 vol.549 − 時相構文の作り方(2)

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前回の時相構文に関するエントリーの続きです。

フィンランド語学習記 vol.548 − 時相構文の作り方(1)

前回は二種類ある時相構文のうち、第2不定詞内格[-essA]を使った形を紹介しました。

Mikon tullessa kotiin Leena oli jo nukkumassa. =
Kun Mikko tuli kotiin, Leena oli jo nukkumassa.
(ミッコが家に帰ったとき、レーナはもう眠っていた。)

今回はもう一つの形を見ていきたいと思います。

Mikon tultua kotiin Leena heräsi.
(ミッコが家に帰ったあと、レーナは起きた。)

前回扱ったのは「AのときB」という、AとBに時間差がないときの表現。

それに対して今回扱うのは「AのあとB」という、AとBに時間差があるときの表現。

今回の文も、前回の文と同じように接続詞 kun を使って書き換えることができます。

Kun Mikko oli tullut kotiin, Leena heräsi.
(ミッコが家に帰ったあと、レーナは起きた。)

この文の従属節の動詞 oli tullut は過去完了の形になっています。

辞書形 tulla
三人称単数過去完了形 oli tullut

 

今回も kun を使った文を時相構文に書き換えることによって、両者の形を比べてみたいと思います。

 

1)主語を属格[-n]の形にする。

Kun Mikko oli tullut kotiin, Leena heräsi.
Mikon

 

今回の時相構文でも従属節の主語は属格[-n]の形になります。

主格 Mikko
属格 Mikon

 

2)動詞を受動過去分詞分格の形にする。

Kun Mikko oli tullut kotiin, Leena heräsi.
Mikon tultua

 

今回の時相構文では従属節の動詞は受動過去分詞分格の形になります。

辞書形 tulla
三人称単数過去完了形 oli tullut
受動過去分詞分格 tultua

 

動詞の辞書形から受動過去分詞分格を作る手順は次のとおりです。

 

2ー1)受動現在形を作る。

タイプ2〜6の動詞はおしまいの母音を重ねて[-n]を付ける。(語幹を経由する必要はなし。)

タイプ1の動詞は弱形語幹に[-tAAn]を付ける。

ただし[-tAAn]の前に[A]が来るときは[A]を[e]に変える。

辞書形 語幹 受動現在形
T3 tulla tule tullaan
T1 puhua puhu puhutaan
T1 tietää *tiedä tiedetään

 

*kpt 交替のあるタイプ1の動詞では「強形→弱形」の変化あり。[t→d]

 

2ー2)受動過去形を作る。

受動現在形の語尾が[-dAAn][-lAAn][-nAAn]で終わる場合は、その[-dAAn][-lAAn][-nAAn]を[-tiin]に変える。

受動現在形の語尾が[-tAAn]で終わる場合は、その[-tAAn]を[-ttiin]に変える。

辞書形 語幹 受動現在形 受動過去形
T3 tulla tule tullaan *tultiin
T1 puhua puhu puhutaan #puhuttiin
T1 tietää tiedä tiedetään #tiedettiin

 

*逆 kpt 交替のあるタイプ3・4・6の動詞では「弱形→強形」の変化あり。[ll→lt]

#細かいですが[t]が2つになっています!

 

2ー3)受動過去分詞を作る。

受動過去形の語尾[-iin]を[-u]または[-y]に変える。

辞書形 語幹 受動現在形 受動過去形 受動過去分詞
T3 tulla tule tullaan tultiin *tultu
T1 puhua puhu puhutaan puhuttiin *puhuttu
T1 tietää tiedä tiedetään tiedettiin #tiedetty

 

*もとの単語に[a, o, u]が含まれていれば[u]。

#もとの単語に[a, o, u]が含まれていなければ[y]。

 

2ー4)受動過去分詞分格を作る。

受動過去分詞の語尾に[-a]を付ける。

辞書形 語幹 受動現在形 受動過去形 受動過去分詞 受動過去分詞分格
T3 tulla tule tullaan tultiin tultu tultua
T1 puhua puhu puhutaan puhuttiin puhuttu puhuttua
T1 tietää tiedä tiedetään tiedettiin tiedetty tiedettä

 

 

3)あとはそのまま

上記のように主語と動詞の形を整えたら、あとはそのままで時相構文のできあがり。

前回と同じように、節の間のコンマがなくなっている点にだけ注意しましょう。

kun の文 Kun Mikko oli tullut kotiin, Leena heräsi.
時相構文  × Mikon tultua kotiin Leena heräsi.

 

まとめ

以上、前回と今回の二回に渡って、第2不定詞内格と受動過去分詞分格を使った時相構文についてまとめてみました。

第2不定詞内格 Mikon tullessa kotiin Leena oli jo nukkumassa.
(ミッコが家に帰ったとき、レーナはもう眠っていた。)
受動過去分詞分格 Mikon tultua kotiin Leena heräsi.
(ミッコが家に帰ったあと、レーナは起きた。)

 

明日はこの時相構文の注意すべき点についてもう少しだけ書いてみたいと思います。