外国語の学習に成功する人に共通の特徴とは?

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外国語の学習に成功する人に共通の特徴とは何でしょうか?

果たして語学の才能というようなものがあるのか、それとも日々学習を積み重ねる努力に勝るものはないのか。さまざまな意見があると思います。

第二言語習得理論(SLA)の学問分野では、このような「学習者」自身に関する研究も多く行われてきました。

ピッツバーグ大学教授の白井恭弘先生の著書『英語教師のための第二言語習得論入門』によれば、成功する学習者には以下の5つの特徴が見られるそうです。

  1. 若い
  2. 母語が学習対象言語に似ている
  3. 外国語学習適性が高い
  4. 動機づけが強い
  5. 学習法が効果的である

なるほど。なかなかハードルが高い項目もありますね。

さて、私の場合はこれらの特徴にどれだけ当てはまるのか? 以下に検証してみたいと思います。

 

若い

いきなり挑発的な項目が来ました。「若い」の定義がよくわからないので、オンライン版の大辞泉を引いてみたところ下記の語義が。

  1. 生まれてから多くの年数を経ていない。年齢が少ない。
  2. 草木などが生え出てからあまりたっていない。
  3. できてからの時間が短い。まだ十分に発達していない。
  4. 他の人にくらべて、年齢が下である。
  5. 衰えていない。生気に満ちている。若々しい。
  6. 世慣れていない。経験が少なく、未熟である。
  7. 数字や番号が他とくらべてゼロに近い。数が少ない。

1の「生まれてから多くの年数を経ていない」には当てはまりませんが、5の「衰えていない」には当てはまるような気がするので、1勝1敗の引き分けということにしておきましょう。

若くないと思えば若くないですし、若いと思えば若いのです。はい。

 

母語が学習対象言語に似ている

ここでは学習中のフィンランド語について考えてみます。

<似ている部分>

  • 冠詞がない。
  • 名詞の性(男性名詞・女性名詞)がない。
  • 音と文字が、原則として一対一対応である。
  • フィンランド語の「格変化」と日本語の「てにをは」が感覚的には似ている。(あくまで感覚的にですが)
<似ていない部分>

  • 格変化が豊富!
  • フィンランド語が表音文字(アルファベット)を使用するのに対して、日本語は表音文字(かな)と表意文字(漢字)を組み合わせて使用する。

列挙してみたら、なぜか似ている部分の方が多くなってしまいました。似ていると言えば似ていますが、ヨーロッパの言語同士のように学習が有利になるほどではないでしょう。

ただし「日本語と英語」よりは、「日本語とフィンランド語」の方が似ているということは言えるのかもしれません。

そうだとすると日本の中等教育で、英語の代わりにフィンランド語が導入されたら、日本人の外国語運用能力は今より向上するのでしょうか??

全国でどこか一校だけでもよいので、どこかの私立中高一貫校が試してくれたら面白いと思います。

 

外国語学習適性が高い

ここで言う「適性」とは何でしょうか?

冒頭で紹介した「英語教師のための第二言語習得論入門」によると、外国語の適性は大きく下記の3つに分類されるそうです。

  1. 言語分析能力(言語の文法や規則に対する敏感さ)
  2. 音声認識能力(単に聞き取るだけではなくて、聞いた音声を頭の中で保持する能力も含む)
  3. 記憶力(丸暗記をする能力)

これらの適性に関する、私の自己認識は割合はっきりしています。

1⇒おそらくある、2⇒まったくない、3⇒なくなりつつある

3がやや気になりますが、ここでも1勝1敗の引き分けということにしておきましょう。

 

動機づけが強い

「フィンランドに住むことになった」とか「フィンランドの人と結婚した」という人ほどではないでしょうが、それなりのモチベーションは持っているつもりです。

モチベーション云々というより、何よりもフィンランド語自体を楽しんでいると言った方が正しいでしょうか。

フィンランド語を学ぶ人には、ムーミンやマリメッコなどフィンランド発のカルチャーに興味を持っている人が多いような気がしますが、私の場合は「ことば」そのものが最大の動機になっています。

 

学習法が効果的である

このブログでは、フィンランド語に限らず外国語一般の学習法も紹介していますので、それが効果的でないということになると困ってしまいます。

ここはひとつ効果的である!と言い切ってしまいたい。しかし本当に「効果的」であると証明するためには、何よりも上達する必要があるのです。(頑張ろう!)

 

まとめ

さてみなさんは、これらの特徴にいくつ当てはまったでしょうか? あらためて5つの特徴を見てみましょう。

  1. 若い
  2. 母語が学習対象言語に似ている
  3. 外国語学習適性が高い
  4. 動機づけが強い
  5. 学習法が効果的である

一つ忘れてはならないのは、これらの中で自分でコントロールできるのは4と5だけだということです。

若いうちに始めなさいといっても、いつ始めたくなるかは人それぞれですし、日本語と似ている言語を選びましょうといっても、そもそも似ている言語がほとんどありません。

よって、外国語の学習においては「モチベーションをいかに高めるか」「いかに効果的に学習するか」という2点が何よりも成功へのカギになるのでしょう。

そのあたりのトピックは、今後このブログでも中心的に扱っていきたいと思いますので、また遊びに来ていただければ幸いです。

 

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