カラフルな雨模様

18050801

昨日のエントリーで「五月雨」というのは五月の雨ではなく梅雨どきの雨のことであるという話を書きました。

五月雨(さみだれ)

では、日本語には五月の雨を意味する言葉はないのだろうか?と思い、『雨のことば辞典』をめくっていたら、次の言葉を見つけました。

緑雨 りょくう

新緑をぬらして降る雨。五月の雨。風に吹かれて雨後の若葉がひるがえり、雨滴がきらめく。「緑雨」の緑はもちろん木々の葉の色で、「若葉雨」「翠雨」「青雨」などともいう。ほかに色のついた雨に「紅雨」「白雨」「黒雨」などがある。

「雨のことば辞典」P.227

これは今の時期にぴったりの言葉。

こんな言葉を見つけると、雨も悪くないなと思えてくるから不思議なものです。

また文中で触れられている「紅雨」「白雨」「黒雨」という色付きの雨についても調べてみました。

紅雨 こうう

紅の色をした雨。花に降り注ぐ春の雨。紅い花が散るさまを雨にたとえるときにもいう。雨には色がないが、植物の花粉や砂塵などを含んで降るとき、色がついていることがある。中国の紅雨の記録に「唐の天宝十三年、宮中に紅雨下る。色桃花のごとし」(『致虚閣雑爼』)とある。

「雨のことば辞典」P.99-100

白雨 はくう

夕立。明るい空から降る、にわか雨。雹のこともいう。雨脚が太く、日光を浴びたり、雨粒が空中で分裂したり地面に強く当たるときに上がるしぶきが白く見えるのであろう。「しらさめ」とも読む。

「雨のことば辞典」P.178-179

黒雨 こくう

まっ黒な雨雲から降ってくる雨。空が黒くなってしまうような土砂降りの雨や豪雨。一天にわかにかき曇り、ということばどおりの雨。

「雨のことば辞典」P.105

これらの雨は必ずしも雨の色を指しているわけではありません。

ただ紅雨の説明文には「雨には色がないが、植物の花粉や砂塵などを含んで降るとき、色がついていることがある」とあります。

日本の雨にもそのような色が付くことはあるのでしょうか?

真偽のほどはさておき、降り注ぐ雨の中に色彩を見ようというその発想力はすごいと思います。

今日の雨は何色だろう?と思えば、雨の日の楽しみが一つ増えるのかもしれません。

 

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