UNESCO Atlas of the World’s Languages in Danger − 日本国内の危機言語とは?

一昨日のエントリーで、「日本語を公用語とする国」の話題を取り上げました。

[参考]日本語を公用語とする国はいくつある? | Fragments

公用語というのは、実はかなり曖昧な概念でもあります。Wikipedia の記述を見てみましょう。

公用語(こうようご、英: Official language)とは、国、州、国際的集団など、ある集団・共同体内の公の場において用いることが定められている言語を指す。その集団が有する公的機関には義務が課され、公的情報を発信する際等には公用語を用いなければならない。

(中略)

一言語集団が大多数を占める国家や圧倒的に強い力を持っている国家の場合、公用語を法律で定めていない場合もある。(傍線筆者)

日本の公用語が法律で定められていないというのは有名な話です。もちろん法律で定める必要がないくらい、日本における日本語の地位は強力ですし、それが良い悪いという話ではありません。

ところで、公用語かどうかはさておき、現在の日本ではいったい何種類の言葉が話されているのでしょう?

もちろんインドネシアの人がいればインドネシア語を話すでしょうし、ベトナムの人がいればベトナム語を話すでしょうから、ここでは「主に日本国民によって話されている言語」という定義にします。

おそらくそれらの言語が少数言語であろうということは容易に想像できますので、UNESCO Atlas of the World’s Languages in Danger(消滅の危機にある世界の言語地図)のウェブサイトで確認してみましょう。

UNESCO Atlas of the World’s Languages in danger
UNESCO Atlas of the World’s Languages in Danger …

このサイトには現在2,473の言語が登録されています。

国別に言語を見ることもできるので、日本を選択してみると、日本国内では8つの言語が消滅の危機にあるとのこと。

さて、この8つの言語とは何でしょうか?

??

正解は下記のとおり。

  • Ainu (Hokkaido)(北海道アイヌ語)
  • Amami(奄美語)
  • Hachijō(八丈語)
  • Kunigami(国頭語)
  • Miyako(宮古語)
  • Okinawan(沖縄語)
  • Yaeyama(八重山語)
  • Yonaguni(与那国語)

アイヌ語と八丈語以外は全て沖縄の言葉ですね。これらの琉球諸語は、学説によっては「言語」ではなく「方言」に分類されることもあるようですが、ここで詳細に踏み込むのはやめておきましょう。

しかし個人的な話ですが、昔、旅行で八重山列島の小浜島に行ったとき、漁師のおじいさんと話をしたものの、全く通じなかったということがありました。あれが八重山語なのかどうかはわかりませんが、全く通じないレベルなのであれば、方言ではなく言語と認めてもよいような気がします。(全く学問的根拠のない発言ですが。。。)

いずれにしても、これらの言葉がもし遠くない将来に消滅してしまうのだとしたら、大変に寂しい話です。