スピーキング上達の秘訣 − 心の速度制限を外してみよう

カーネギーメロン大学教授の金出武雄先生の著書『独創はひらめかない ー「素人発想、玄人実行」の法則』を読んでいたら、その中に「英会話上達の秘訣」という章がありました。

そこで、紹介されている方法の一つが、速くしゃべる練習をすること。

英語に限らず外国語の発音の上達には秘訣がある。早口で、大きな声でしゃべる練習をすることである。

しゃべるということは、相手に自分の意思や感情、考えを伝達することを目的とする。そのためには、速くコミュニケーションするというのが重要だから、どんな言語でも、速くしゃべるように作られているのである。例えば、日本語でも、「に・ほ・ん・ご・で・は」と、音を区切って言う日本人はいない。「にほんごでは」と、速く言う。つまり、速く言えば言うほど自然になる。

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外国語の学習において、速読や速記について言及されることはありますが、速喋(?)というのはあまり聞いたことがありません。

しかしそう言われて考えてみると、ネイティブスピーカーとのコミュニケーションにおいて、相手に自分の言いたいことを理解してもらうためには、ある程度のスピードで話すことが必要です。

一語一語を丁寧に発音するよりも、ひとまとまりのチャンクとしてリズムとイントネーションに注意して話す方が、圧倒的に伝わりやすいというのは自分の経験から振り返ってみても確かなことだと思います。

ただしこれを実行するためには、

  • 間違いを恐れない
  • 周りの日本人の目を気にしない

という、一種の開き直りが必要でしょう。

日本人の場合、周りの日本人の目を気にして、必要以上にたどたどしく話してしまうというのはよくあることです。

スピーキングのトレーニングとしては、この「心の速度制限」を外して、一度限界に挑戦してみることも必要ではないでしょうか。

これはスピーキングの上達を考える上で大切なポイントだと思いますので、備忘録としてここにメモしておきたいと思います。

 

なお、本書「独創はひらめかない ー「素人発想、玄人実行」の法則」は、日本からアメリカへ渡り、ロボット工学の世界的権威となった著者が、その発想の源について語ったエッセイ集です。

そのメッセージは力強く、明日からの仕事に前向きになるためのエネルギーをもらうことができます。またアメリカと日本の一種の比較文化論にもなっており、研究に携わる人でなくても十分に楽しめ、そして役に立つ一冊だと思います。

 

独創はひらめかない―「素人発想、玄人実行」の法則
金出 武雄
日本経済新聞出版社
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