恐怖の時代? − from the University of Bristol Press Releases

英ブリストル大学のプレスリリースに興味深い記事があったので紹介してみたいと思います。

Bristol University | News from the University | Emotion in books

Expression of emotion in books declined during 20th century, study finds

(研究によると、書籍の中の「感情」表現は20世紀の間に減少傾向。)

ブリストル大学の研究チームが、グーグルにアーカイブされた500万冊以上の本を対象に、気分(mood)に関する言葉がどれくらいの頻度で使われているのか調べたそうです。

それらの言葉は、怒り(anger)、嫌悪(disgust)、恐怖(fear)、喜び(joy)、悲しみ(sadness)、驚き(surprise)の6つに分類されました。

さて、その結果は?

the researchers made some remarkable discoveries about the evolution of word usage in English books over the past century.  Firstly, the emotional content of published English has been steadily decreasing over the past century, with the exception of words associated with fear, an emotion which has resurged over the past decades.

(研究者たちは、過去100年の間に英語で書かれた書籍における単語使用の変遷について目覚ましい発見をした。まず、英語の出版物における感情的な表現は、過去100年の間に着実に減少していた。ただし「恐怖」に関する単語は例外で、過去数十年の間に再び増加した。)

2004年のアメリカ大統領選挙の際に話題になったマイケル・ムーア監督の『華氏911』や『ボウリング・フォー・コロンバイン』といった映画では、アメリカのマスメディアにおける「恐怖」のプロパガンダというテーマを扱っていました。

そのあたりの内容を思い出してみると、この研究の結果もさもありなんと思います。

この記事ではまた、イギリス英語よりアメリカ英語の方が、感情表現が多いと伝えています。これは何となく想像が付きますね。(ステレオタイプ的なイメージかもしれませんが。)

一方「恐怖」以外の感情表現が減少したことをどう解釈するのかは難しい問題だと思います。

この記事では、感情的傾向(emotionalism)というのは経済成長期に許された贅沢だったのかもしれないという説を開陳しつつ、その解釈は自由であると締めくくっています。

みなさんならどのような解釈をするでしょうか。