氷河時代の言語とは? − from the University of Reading News

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英語とドイツ語など、お互いに似ている言語の起源を遡っていくと、もともとは一つの言語であったのではないかという結論に至ることがあります。

比較言語学では、そのような言語の共通の祖先を「祖語」と呼んでいます。

このように言語の起源をどんどん遡っていくと、かつて全ての言語の共通の祖先である「世界祖語」が存在したのではないかという仮説を立てることもできます。

言語の起源については、かつて世界祖語が存在したという単一起源説と、複数の言語が別々の大陸で発生・進化したという複数起源説があるようです。

いわゆる「バベルの塔」の神話は前者の説に基づいている訳ですね。

そんな世界祖語への夢が広がる研究が、英レディング大学のホームページに掲載されています。

Ice Age ancestors might have used words in common with us

New research from the University of Reading shows that Ice Age people living in Europe 15,000 years ago might have used forms of some common words including I, you, we, man and bark, that in some cases could still be recognised today.

レディング大学の新しい研究によれば、15,000万年前にヨーロッパに住んでいた氷河時代の人々は、I, you, we, man, bark など、今日でもよく使われる単語の形式を用いていたのかもしれない。それらの単語は、場合によっては現在でもなお識別できるはずだ。

これらの common words を使えば、氷河時代の人々と簡単なコミュニケーションができるかもしれないそうです。非常に壮大で夢のある話ですね。

Using statistical models, Professor of Evolutionary Biology Mark Pagel and his team predicted that certain words would have changed so slowly over long periods of time as to retain traces of their ancestry for up to ten thousand or more years.  These words point to the existence of a linguistic super-family tree that unites seven major language families of Eurasia.

統計モデルを用いて、進化生物学のマーク・パゲル教授と研究チームは、特定の単語は原形の痕跡を保持しながら1万年かそれ以上の長期間にわたってゆっくり変化していくだろうと予測した。これらの単語はユーラシア大陸の7つの主要な語族をつなぐさらに大きな樹形図(super family-tree)の存在を示している。

この研究では、上記のような仮説を導きだすために単語の使用頻度に着目しているようです。日常よく使われる単語ほど、時を経た変化が少ないのだとか。

ここで挙がっている「7つの主要な語族」のリストは下記のとおりです。

  • Indo-European(インド・ヨーロッパ語族)
  • Uralic(ウラル語族)
  • Altaic(アルタイ語族)
  • Kartvelian(南コーカサス語族)
  • Dravidian(ドラヴィダ語族)
  • Chuckchee-Kamchatkan(チュクチ・カムチャッカ語族)
  • Eskimo-Aleut(エスキモー・アレウト語族)

日本語は一般的には系統不明の言語とされているものの、アルタイ語族やドラヴィダ語族との関連を指摘する説も存在します。

そうだとすれば、もしかすると日本語の中にも氷河時代の人々に伝わる語彙があるのかもしれません。

春の季節にそんな単語について想像してみるのはいかがでしょう?