最も長い英単語

Portrait of Francis Bacon, by Frans Pourbus

紙媒体では世界最大の英語辞典「オックスフォード英語辞典」には、約600,000語の見出し語が収録されているそうです。

実際の英単語の数は、それよりもはるかに多いでしょう。こうしている間にも日々新しい単語は生まれています。

それでは数ある英単語の中で、最も長い単語は何でしょうか?

interesting? internationalization? いやいやもっと長い単語は存在します。

 

Honorificabilitudinitatibus(27文字)

これはシェークスピアの戯曲の中で最も長い単語だそうです。

Love’s Labour’s Lost(恋の骨折り損)という作品に登場します。

意味は Wiktionary によると、the state of being able to achieve honors(名誉を勝ち取ることができる状態)。

この単語は文字を並び替えると、こんなラテン語のアナグラムを作ることができます。

hi ludi, F. Baconis nati, tuiti orbi(これらの戯曲はF・ベーコンの作りて世に残すものなり。)

そのため、シェークスピアの作品は実は同時代の哲学者フランシス・ベーコンによって書かれたという「シェークスピア=ベーコン説」の根拠になっているのだとか。おもしろいですね。

 

Supercalifragilisticexpialidocious(34文字)

1964年の映画『メリー・ポピンズ』の中で歌われる楽曲の名前です。

カタカナ表記をすれば「スーパーカリフラジリスティックエクスピアリドーシャス」。

Wiktionary に発音のサウンドファイルがアップされていました。

こちらは「英辞郎」から意味を引いてみましょう。

素晴らしい、信じられない ◆称賛の表現。子どもが英語で一番長い語として使う。

ということで、子どもにとって最も長い単語として認定しておきましょう。

 

Pneumonoultramicroscopicsilicovolcanoconiosis(45文字)

これは辞書に登場する最も長い単語だそうです。

日本の英和辞書にも普通に掲載されています。

サウンドファイルはこちら。

こちらも「英辞郎」から意味を引いてみましょう。語源にも触れていて、非常にわかりやすい説明になっています。

塵肺症◆【語源】pneumono(肺)+ ultra(超)+ micro(微細な)+ scopic(見る)+ silico(石英)+ volcano(火山)+ coni(ほこり)+ osis(病気の状態)

 

Lopado­­temacho­­selacho­­galeo­­kranio­­leipsano­­drim­­hypo­­trimmato­­silphio­­parao­­melito­­katakechy­­meno­­kichl­­epi­­kossypho­­phatto­­perister­­alektryon­­opte­­kephallio­­kigklo­­peleio­­lagoio­­siraio­­baphe­­tragano­­pterygon(183文字)

古代ギリシア・アテナイの喜劇作家アリストパネスの戯曲『女の議会』に登場する料理の名前です。

文学作品に登場した最も長い単語ということで紹介しました。

この料理は、日本語版 Wikipedia の項目にもなっています。

ありとあらゆる種類の食材を含んだ料理 – Wikipedia

いったいどんな料理なのか? 気になる人はチェックしてみてください。料理の具材も紹介されています。

 

Methionylthreonylthreonylglutaminylargin­yl…isoleucine(189,819文字!)

いきなり文字数が爆発しました。当然、全文(全語)はのせられません。

これは Titin というタンパク質の化学名なのだそうです。

化学名というのはやや反則な気もしますが、これが今のところ、最も長い英単語として認定(?)されているようです。

しかし、ここまでの話をひっくり返すようですが、厳密な文法においては「最も長い単語」というのは存在しません。

なぜなら数詞や名前のように、意図すれば無限に長くできる単語が存在するためです。

しかしここでは、Methionylthreonylthreonylglutaminylargin­yl…isoleucine が最長!ということで認めてしまいましょう。

なおどうしても189,819文字全てを読みたい!という人はこちらからご覧ください。

また何と、この単語を3時間半かかって全て読み上げたという驚くべき動画がありました。

ぼーっと聞いていると、お経を聞いているような感じです。

動画をスキップして見るとわかるのですが、読んでいる間に、画面左手の花はどんどんしおれ、読み上げのお兄さんのひげがだいぶ伸びています。

この企画は思い付いたとしても、なかなか実行できる人はいないでしょう。素晴らしい実行力だと思います。。

 

以上、今回は最も長い英単語の話を紹介しました。目がチカチカすることを除けば、なかなか楽しい世界です。