できること/できないこと

学生でも社会人でも、何らかの形で英語を学んでいる日本人はかなりの数になるでしょう。

そんな人たちに「あなたは英語を話せますか?」と聞けば、多くの人が「話せません」と答えるに違いありません。

しかし現実には「話せません」と答える人の多くが、英語で挨拶もできるし、自己紹介をすることもできるのです。

これは日本人特有の奥ゆかしさなのかもしれません。しかしそれに加えて何かを学んでいる人は、その学んでいる内容に関して自分ができることよりも、できないことを言葉にしがちであるといった側面もあるのです。

例えば、ピアノを習っている人は、ある曲を何とか弾けるようになったということよりも、スピードが遅いとか、リズムが悪いとか、暗譜ができないとか、練習が続かないといったことを話題にしがちではないでしょうか。

語学も同様で、例えば英語を勉強している人から次のような発言を聞くことがあります。

・ネイティブスピーカーの話が聞き取れない
・きれいな発音ができない
・毎日勉強する習慣が身に付かない

たしかにそのとおりなのかもしれませんが、視点を変えれば同じ内容を次のように言い換えることもできるでしょう。

・ネイティブスピーカーの話を聞き取れることもある
・相手が理解できるレベルの発音ができる
・週に数日のペースで勉強を続けることができる

車の免許を取得するときのようにゴールが明確な学びであれば、免許を取得した瞬間に「私は車を運転できます」と話すことができます。

しかし語学はある意味、明確なゴールのない学びと言えます。

そうであれば、「挨拶ができるようになった」「自己紹介ができるようになった」「ラジオを聞いて理解できる部分があった」というように、できることを自分で積極的に言葉にしてみてはどうでしょうか。

できないことを言葉にするのは簡単ですが、多く使いすぎると、まるで自分がダメな人間であるかのように自分自身を信じ込ませてしまう力もあります。

一方、できることを言葉にするのは難しい面もありますが、それをきちんと言葉にすることで、日々の学びを確認し、学習を前に進める原動力となります。

学習の記録を日記やブログに書くというのも、できるようになったことを言葉にするための一つの手段と言えるでしょう。

語学が思ったように捗らないと嘆いている方には、二〜三行でもよいので、ポジティブな学習の記録を付けてみることをおすすめします。

ぜひお試しください。