なぜ英語の11と12には[-teen]が付かないのか?
英語でティーンエイジャー(teenager)というと、通常13〜19歳の男女を指します。
なぜかと言えば、数詞に[-teen]が付くのは、13〜19だから。
11 | eleven |
12 | twelve |
13 | thirteen |
14 | fourteen |
15 | fifteen |
16 | sixteen |
17 | seventeen |
18 | eighteen |
19 | nineteen |
20 | twenty |
たしかにそのとおりではあるのですが、次のような疑問も残ります。
そもそも、なぜ11と12には[-teen]が付かないのか?
この回答に関しては諸説あるようです。その中から有力と思われる二つの説を紹介してみましょう。
ゲルマン祖語起源説(手の指カウント説)
eleven/twelve の語源を見てみると、eleven はゲルマン祖語で「一つ余る」を意味する ainalif に由来し、twelve は「二つ余る」を意味する twalif に由来するとのこと。
Wiktionary によると、次のような変遷を経て現在の形になったのだそうです。
ゲルマン祖語 | → | 古英語 | → | 近代英語 |
---|---|---|---|---|
ainalif | → | endleofan | → | eleven |
twalif | → | twelf | → | twelve |
これに対して、thirteen のもとになったゲルマン祖語 þritehun は単純に 3+10 という意味であり、余るというニュアンスはありません。
10を基準値として、+1と+2に固有の名前が与えられているのは、手の指を使ってものを数えていたことの名残であると考えられます。
数えるのに指を使い切って、一つや二つ余るところまでは覚えていられても、三つ余るとさすがに忘れてしまうのかもしれません。
十二進法起源説
十二進法というのは、12をひとまとめとして位をあげる数の数え方のこと。
例えば鉛筆が12本集まると1ダース、それが12箱集まると1グロスとなります。
12までの数詞に固有の名前が与えられているのは、この十二進法に由来するという説もあります。
ただしこの説は、13から[-teen]が始まる説明にはなっても、19で[-teen]が終わる説明にはなっていません。
そもそも十二進法を採用している言語などあるのだろうか?とも思ったのですが、これについては Wikipedia に下記の記述がありました。
自然言語で十二進命数法の数詞を持つものは少ない。ナイジェリアのジャンジ語(Janji)、ビリ・ニラグ語(Gbiri-Niragu)、グワンダラ語ニンビア方言 (Nimbia)、ピティ語(Piti)などが十二進命数法のグループを作り、またネパールのチェパン語(Chepang)も十二進命数法を用いている。
Wikipedia『十二進法』より
少ないと言いつつ、ずいぶん様々な言語の名前が挙がっています。
これだけの言語が十二進法を採用しているのだとすれば、英語が十二進法とは無縁と言い切ることもできないのかもしれません。
以上、英語の11と12に[-teen]が付かないことに関する二つの説を紹介してみました。
真偽のほどはわからないのですが、いろいろと思いを巡らせてみるのも楽しいものです。