インターネットの「上」か「中」かを考えてみる − from DC Blog
突然ですが、問題です! 下線部に入る前置詞は何でしょう?
イギリスの著名な言語学者 David Crystal さんのブログで、the Internet の前に置く前置詞は on と in のどちらが適切か?という問題が取り上げられていました。
DCblog: On on or in the Internet
上記のエントリーによると、on という前置詞は通信手段を表すのに用いられます。例えば、
- on TV
- on the radio
- on the phone
など。インターネットを一つの通信手段と考えれば、on the Internet という表現に何の違和感もありません。
またおもしろいと思ったのが、こちらの一文。
Metaphorical expressions reinforce the usage: one surfs on the Internet.
(隠喩表現もこの用法を強固なものにしている:インターネット上でサーフィンをする、など。)
ウェブサイトをあちこち見て回ることをインターネットサーフィンと言います。
サーフィンが波にのる(on the waves)スポーツなので、インターネットサーフィンもインターネットにのる(on the Internet)イメージにつながりやすいということなのでしょう。
on the Internet という表現には、インターネットというボーダーレスな世界の表面を軽やかに移動しているようなイメージがあります。
一方の in という前置詞は、紙の情報媒体でよく用いられます。例えば、
- in a book
- in a magazine
- in a newspaper
など。インターネットを一つの情報媒体と考えれば、in the Internet という表現にも居場所を与えたくなります。
in the internet という表現には、インターネットという巨大な図書館に入り、書架の本を閲覧しているようなイメージがあります。
それではいったい on the Internet と in the Internet のどちらが適切なのでしょうか? David Crystal さんの結論を見てみましょう。
I use both prepositions, in this respect, depending on the semantics of what I have in mind. I say to people that they will find something on my website and also in my website, depending on whether I am thinking of the website as a single location or as a container of data.
(この点について、私は思い浮かべている意味によって、両方の前置詞を使います。私は人々に、私のウェブサイト上(on my website)で何かを見つけてくださいと言うときもありますし、私のウェブサイトの中(in my website)で何かを見つけてくださいと言うときもあります。それはウェブサイトを「単一の場所」として見ているか、「データの集積」として見ているかの違いなのです。)
すなわち、これは文脈なしにどちらが適切と言えるような問題ではなく、私たちが on と in という前置詞を使ってこの世界を「どのように解釈するか」という問題なのだと思います。
とても興味深いトピックではないでしょうか?