くしゃみをしたら「Bless you!」と言う理由とは?

英語圏の国々では、周りにいる人がくしゃみをしたら「Bless you!」と声をかけることがよくあります。

日本風に言えば「お大事に」という感じでしょうか。

しかし日本では、くしゃみをしたときの決まり文句がないため、周りの人がくしゃみをしたとき、何と声をかけてよいのか迷ってしまうことがあります。

そのため、海外の長期滞在から帰ってくると、ついつい日本でも「Bless you!」と言いたくなってしまうことがあるくらい、英語圏では生活に根付いた定番の表現と言えるでしょう。

しかし考えてみると、なぜくしゃみをしたくらいで「神のご加護がありますように!」などという大仰な話になるのでしょう?

はっきりとした理由はわかっていないようなのですが、よく知られた説としては次の二つがあるようです。

 

ペスト説

One explanation holds that the custom originally began as an actual blessing. Gregory I became Pope in AD 590 as an outbreak of the bubonic plague was reaching Rome. In hopes of fighting off the disease, he ordered unending prayer and parades of chanters through the streets. At the time, sneezing was thought to be an early symptom of the plague. The blessing (“God bless you!”) became a common effort to halt the disease.

(一つ目の説明は、その習慣がもともと実際の祈りの言葉として始まったというものである。グレゴリウス1世が西暦590年に教皇に選ばれたとき、腺ペストの広がりがローマにも届きつつあった。病気を鎮めるため、彼ははてしない祈りと聖歌のストリートパレードを命じた。そのころ、くしゃみはペストの初期症状と思われていた。祈りの言葉(God bless you!)は病気をくい止めるためのありふれた試みであった。)

Wikipedia「Bless you」より

このような時代では、思わずくしゃみをしてしまった人は大変なショックを受けるのかもしれません。近くに「Bless you!」を言ってくれる人がいなかったら、思わず走って探しに行ってしまいそうです。

 

魂・邪悪な存在説

Another explanation suggests that people used to believe that a person’s soul could be thrown from their body when they sneezed, that sneezing otherwise opened the body to invasion by the Devil or evil spirits, or that sneezing was the body’s effort to force out an invading evil presence. In these cases, “bless you” or “God bless you” is used as a sort of shield against evil.

(もう一つの説明は、人々がかつて次のようなことを信じていたというものである。それはくしゃみをすると自分の魂が体から飛び出すということ、それ以外にくしゃみは悪魔や邪悪な魂の体への侵入を許すということ、あるいはくしゃみは邪悪な存在の侵入を防ぐための体の反応であるということ。これらのケースにおいて「bless you」や「God bless you」は、邪悪なものに対抗する盾のようなものとして用いられた。)

医学的には、くしゃみというのは埃やウイルスを対外に排出しようとする働きです。そういう意味ではこの説「当たらずといえども遠からず」なのかもしれません。

 

まとめ

以上、くしゃみをしたら「Bless you!」と言う理由に関する2つの説を紹介しました。

2つの説に共通するのは、うっかり「Bless you!」を言い忘れたら大変だということ。

その点、日本では、くしゃみをしても誰かがうわさ話をしているだけですので、実に平和なものです。

うわさ話をされるのは、あまり嬉しいものではありませんが、ペストに罹ったり、魂が飛び出したりするよりは余程ましと思えば、穏やかな気持ちでいられるのではないでしょうか。