フィンランド語学習記 vol.10 − 格変化の森へ

Forest

先日のフィンランド語クラスでこんな表現を習いました。

Mitä se on japaniksi?(それは日本語で何と言いますか?)

単語に分解すると、

mitä(何)
se(それ)
on(〜である)
japaniksi(日本語で)

最後の japaniksi は日本語という意味の japani が格変化した形。

格変化というのは、文中での語の働きを示すための語形変化のことで、この場合は[-ksi]の部分が「〜で」の意味を表します。

英語ではこの格変化はほぼ消滅し、主に語順によって単語の働きを示すようになりました。一方で多くのヨーロッパ系言語には格変化があり、その中でもフィンランド語は名詞や形容詞の格変化が大変豊富な言語です。

そのあたりを少し自分でも調べてみたいと思ったので『フィンランド語文法ハンドブック』吉田欣吾著(白水社)を購入してみました。以前読んだ「フィンランド語のしくみ」と同じ先生の本ですね。

フィンランド語文法ハンドブック
吉田 欣吾
白水社
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この本に talo「家、建物」の格変化一覧がのっていたので抜粋してみます。

Case

なかなか複雑です。これをアタマで覚えるのはかなり大変かもしれません。

冒頭の japaniksi はこのうち、変格に当たるようです。

さきほどの『フィンランド語文法ハンドブック』の解説を見てみると、

言語名を変格にすると「〜語で」という意味を表すことができます。たとえば、suomiは「フィンランド語」という意味ですが、suomeksiで「フィンランド語で」という意味になります。

P.60

そういえば授業で使っているテキストは、suomea suomeksi(=フィンランド語をフィンランド語で)という名前でした。

他の言語がどれくらいの名詞格変化を持っているのか調べてみたところ、ラテン語=7、ロシア語=6、ドイツ語=4ということですので、フィンランド語の15(複数形を含めると28)というのはかなりのものですね。

ただし世界最多名詞格言語(?)というタバサラン語では約48種類もの格変化があるとのこと。どの世界でも上には上がいるものです。