TEDTalks − ダン・アリエリー「我々は本当に自分で決めているのか?」
現代の英語学習者はネット上でさまざまな映像コンテンツを見つけることができますが、その中でも非常にクオリティが高いのが TEDTalks ではないでしょうか。
こんなサービスが自分の学生時代にあったら、どんなによかっただろうと思わずにはいられません。
TEDTalks は毎年カリフォルニアで行われている学術やエンターテインメントに関するカンファレンス(TED Conference)の模様を動画配信しているウェブサイトです。
クオリティが高いというのは、何よりもまずそこで行われているプレゼンテーションの質が高いということです。
講演者は著名人から一般の人々まで様々ですが、とにかくみなプレゼンテーションの技術が圧倒的に高いです。冒頭のつかみから、全く聴衆を飽きさせずにクライマックスまで持っていく技術には感心してしまいます。
また TEDTalks では多くの動画で字幕を表示することができます。英語のインプットを行う目的なら、補助的に英語の字幕を示して理解度を高めることもできます。
多くの動画で日本語の字幕を表示することもできますし、動画によっては数十言語もの字幕が準備されていますので、英語の講演にフィンランド語の字幕を表示するなどということもできてしまいます。
プレゼンテーション(動画)は長いものでも20分程度。短いものでは5分程度のものもありますので、すきま時間での視聴も可能です。
その中から、今回は一本のプレゼンテーションを紹介しましょう。
ダン・アリエリー(Dan Ariely)はイスラエル出身の行動経済学者で、現在はカリフォルニアのデューク大学で教鞭を執っています。
ある日、彼は雑誌「エコノミスト」のウェブサイトで次のような広告を見つけます。
- ウェブ版の購読(59USドル)・・・①
- 印刷版の購読(125USドル)・・・②
- 印刷版およびウェブ版のセット購読(125USドル)・・・③
この選択肢をぱっと見たときに①のウェブ版が一番安いのはよいとして、②の印刷版と③のセット版が同価格というのが何だかひっかかります。
というか、この選択肢であれば、わざわざ②の印刷版のみを選択する人はまずいないでしょう。①か③の選択になるはずです。
実際、アリエリーがMITの学生にどれを選ぶか実験をしたところ、
①=16人、②=0人、③=84人
という結果が出たそうです。③の選択肢には「ウェブ版=無料特典」というイメージもあるため、この結果に特に驚きはないでしょう。
しかしこの実験はここで終わりではなく、次に②を選択肢から外して、①と③の二択で選ばせるという実験をしました。
するとどのような結果が出たでしょうか。
①=68人、③=32人
つまり最初の三択では②がおとりの効果(=③を魅力的に見せる効果)を持ったために、③の人気が高まりましたが、おとりのない二択では単純に価格の安い方を選択したということです。
この実験は彼の著書「予想どおりに不合理」にも登場します。この本では上記のような実験を多数紹介することで人間の行動の不合理を浮き彫りにしています。
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学術的な内容でありながら、一級のエンターテインメントでもある素晴らしい本ですので、動画を見て興味を持った方はぜひ読んでみてください。おすすめです!