oxymoron の不思議な世界

photo credit: Franck Vervial via photopin cc

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Simon & Garfunkel の1964年のヒット曲『The Sound of Silence』。映画『卒業』の主題歌としても有名です。

この『The Sound of Silence』というタイトルをそのまま訳すと「静寂の音」。

静寂というのは音がないことですから、静寂の音というのは、そもそも矛盾した表現です。

このような表現を英語で oxymoron(撞着語法)と言います。

日常表現の中には、もはや矛盾を意識することなく使っている oxymoron も多いのですが、よくよく見ると相矛盾した表現を含んでいることがわかります。

今回はそんな oxymoron の中からよく使われるものをいくつか拾ってみましょう。

 

bittersweet(ほろ苦い)

例えば恋愛など、楽しくて同時につらいという経験は誰にでもあるもの。

勝負ごとに勝っても、相手の気持ちを斟酌して素直に喜べないということもあります。そんな bittersweet victory を味わったことがある人も多いのではないでしょうか。

 

living dead(生ける屍)

これはいわゆるゾンビのこと。幸いにしてまだ出会ったことはありません。

ジョージ・A・ロメロ監督の『Night of the Living Dead(1968)』など映画のタイトルにもなっています。

 

old news(古いニュース)

「サッカー日本代表が来年のワールドカップへの出場を決めましたね!」などと言えば、古いニュースだなあと言われてしまうことでしょう。

しかし、もともと news というのは「今、起こっていること」を伝えるものなんですよね。

 

open secret(公然の秘密)

みな知っているのに、どうしても口には出せない。そんなことがどの組織にも一つや二つあるのではないでしょうか。

あるいは逆にあなた自身が裸の王様になってしまっていませんか。

 

original copy(原本)

original copy というのは、コピーではなく原本のこと。

例えばパスポートの original copy と言ったら、パスポートそのものを指します。ノンネイティブにとっては、ちょっと紛らわしい表現ですよね。

 

sad smile(悲しげな微笑み)

人間は複雑な感情を持った生き物。

チンパンジーにも微笑みはあるそうですが、悲しげな微笑みとなると果たしてどうでしょう?

 

以上、英語の oxymoron をいくつか紹介してみました。

こういう表現を見ていると、ヒトの言葉というのは不思議なものだなあということを改めて実感します。矛盾によって、より深い表現を生み出しているんですね。