Dum spiro spero − 生きているかぎり私は希望をいだく

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ラテン語の格言には、シンプルで美しい響きを持ったものが多くあります。

表題の Dum spiro spero(ドゥム・スピーロー・スペーロー)も、そんな格言の一つ。

Dum spiro spero means “While I breathe, I hope” in Latin and is paraphrased from Theocritus and Cicero.

(Dum spiro spero は、ラテン語で「息をする間は、私は希望をいだく」を意味し、テオクリトスやキケロによって言い換えられてきた。)

Wikipedia「Dum spiro spero」より

今回はこのフレーズを一語ずつ見ていきたいと思います。

 

Dum

dum は while を意味する接続詞。

すなわち Dum spiro spero は、while A, B という形になっています。

それを踏まえて先を見ていきましょう。

 

spiro

spiro は breathe を意味する動詞。

ラテン語の動詞には豊富な格変化がありますが、この spiro は一人称・単数・現在・直接法・能動態。

一般にヨーロッパの言語では、不定詞が辞書の見出し語になるのに対して、ラテン語ではこの「一人称・単数・現在・直接法・能動態」が見出し語になります。

すなわち spiro を辞書で探せばそのままのっているはず。

英語を勉強しているときには、ほとんどの場合、不定詞と一人称単数現在が同じ形なので、特に辞書形というものを意識することはありませんでした。

しかし多くの言語では、辞書形がそのまま文の中に出てくることの方が珍しいんですよね。

 

spero

spero は hope を意味する動詞。

この spero もさきほどの spiro と同じく一人称・単数・現在・直接法・能動態。

ということは Dum spiro spero は、辞書形の単語のみで構成されたフレーズということになりますね。

 

まとめ

今回はラテン語の格言「Dum spiro spero」を一語ずつ見ていきました。

英語と語順は同じなのですが、主語がないせいか、ずいぶんシンプルに感じられます。

Dum spiro spero.
While I breathe, I hope.


なお表題の日本語訳「生きているかぎり私は希望をいだく」は、岩波文庫の『ギリシア・ローマ名言集』からの引用です。この本を枕元に置いて、寝る前にパラパラとめくるのが最近の楽しみの一つです。

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