『みちこさん英語をやりなおす(am・is・areでつまずいたあなたへ)』益田ミリ著

photo credit: silkegb via photopin cc

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ある休日、池袋の書店をぶらぶらしていると益田ミリさんの新刊を発見。

新刊が出ているといつも即買いしてしまう作家さんなのですが、今回の本はなんと英語学習がテーマ。

これは!とさっそく購入し、帰宅。だだだっと一気に読み終えました。

いつもながらの人間洞察に加えて、ことばのおもしろさを掘り下げた新境地の一冊。楽しく読むことができました。

本書の物語はシンプル。

主人公の青山みち子さんは、友人の弟である雑誌編集者の島田さんに英語の家庭教師をお願いします。

最初は「英会話」を始めるつもりだったのに、始めてみると「ことば」そのものに関するさまざまな疑問が浮かんできて、結局は「英語」の勉強をすることに。

物語に沿って、みち子さんの疑問を拾ってみると、

  • 「主語」と「述語」って何?
  • 「名詞」って何?
  • 英語と日本語はなぜ語順が違うの?
  • a と the はどんなときに使うの?
  • 「複数形」って何?
  • 「固有名詞」と「一般名詞」は何が違うの?
  • 「動詞」って何?
  • 「be動詞」って何?
  • 「人称」って何?
  •  they はなぜ人とものの両方を表すの?

普通の人なら、何の疑問ももたずに「そういうものなんだ」と通り過ぎてしまうところを、みち子さんは一つずつ掘り下げていきます。(最後の they の使い方などは言われてみるとたしかに不思議ですよね。)

そのため勉強の進行はとてもゆっくり。

家庭教師を終えるときの島田さんのセリフは「英語の勉強をはじめる前の勉強が終わったってかんじです!」。本書の帯には「英語入門の前に読む入門書!」とのコピーも。

たしかに扱った内容は初歩の初歩。しかしそれ以上の何かがここにはあります。

現代では学びの効率性ばかりが大切にされますが、それよりも大切な「学びそのものの魅力」を久しぶりに思い出させてくれる一冊でした。

ついつい忘れがちですが、目標に向かって邁進するだけが勉強ではありません。道草もまた楽しいもの。

今、何かを学んでいる人、せわしない日々を過ごしている人に読んでもらいたい一冊です。ぜひ!

 

みちこさん英語をやりなおす (am・is・areでつまずいたあなたへ)
益田ミリ
ミシマ社
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