フィンランド語学習記 vol.153 − 出格の使い方まとめ
今回はフィンランド語の格変化の一つ「出格」の使い方について、まとめてみたいと思います。
出格というのは、名詞や形容詞の語尾に[-sta/-stä]が付いた形。以下に使い方を見ていきましょう。
1)〜から
Liisa on Suomesta.(リーサはフィンランドから来ています。)
*Suomi(フィンランド)
*Suomi(フィンランド)
フィンランド語の出格は「〜から」という意味を表します。
[単数主格]Suomi(フィンランド)
[単数出格]Suomesta(フィンランドから)
[単数出格]Suomesta(フィンランドから)
「出格」を「出発点を表す格」と解釈すれば、わかりやすいと思います。
2)〜について
Kaikki puhuvat Liisasta.(誰もがリーサについて話します。)
*kaikki(全て)、puhua(話す)
*kaikki(全て)、puhua(話す)
フィンランド語の出格は「〜について」という意味も表します。
[単数主格]Liisa(リーサ)
[単数出格]Liisasta(リーサについて)
[単数出格]Liisasta(リーサについて)
「出格」という用語からはややイメージしづらい用法かもしれません。
リーサにまつわる話は、すべてリーサを出発点としているというイメージで捉えてはどうかと思います。
「〜から」と「〜について」
Hän on Suomesta.(彼はフィンランドから来ています。)
Me puhumme Suomesta.(私たちはフィンランドについて話します。)
Me puhumme Suomesta.(私たちはフィンランドについて話します。)
同じ Suomesta でも、上の文は「フィンランドから」、下の文は「フィンランドについて」と訳し分けないとおかしなことになってしまいます。
またフィンランド語では、大文字の Suomi は「フィンランド」、小文字の suomi は「フィンランド語」を意味するので、次のような意味の違いも生じてきます。
○ | Me puhumme Suomesta. | 私たちはフィンランドについて話します。 |
---|---|---|
× | Me puhumme Suomea. | 私たちはフィンランドを話します。 |
○ | Me puhumme suomesta. | 私たちはフィンランド語について話します。 |
○ | Me puhumme suomea. | 私たちはフィンランド語を話します。 |
二番目の文以外はすべてあり得る形。
フィンランド語について話す人は、フィンランドについて話す人よりずっと少ないとは思いますが、世の中には物好きな人(?)もいます。
ここはきちんと押さえておきましょう。
3)好きの目的語
Tykkään elokuvasta.(私は映画が好きです。)
Liisa pitää Japanista.(リーサは日本が好きです。)
*tykätä(〜が好き)、elokuva(映画)、pitää(〜が好き)
Liisa pitää Japanista.(リーサは日本が好きです。)
*tykätä(〜が好き)、elokuva(映画)、pitää(〜が好き)
「好き」を意味する動詞 tykätä, pitää は目的語が「出格」の形になります。
「tykätä+出格」「pitää+出格」と覚えておきましょう。
なおこの他にも「出格」と組み合わせて使う動詞というのが、フィンランド語にはいくつかあるとのこと。それらは都度覚えていけばよいでしょう。
まとめ
最後に今回登場した格変化の意味をもう一度まとめておきます。
フィンランド | フィンランド語 | ||
---|---|---|---|
単数主格 | 〜は | Suomi | suomi |
単数分格 | 〜を | Suomea | suomea |
単数出格 | 〜から 〜について 好き+ |
Suomesta | suomesta |
こうしてみると、かなりさまざまな意味の文を作れるようになってきました。この先が楽しみです!