『Little Women』の日本語訳は?− Google 翻訳の手法
いつもお世話になっている Google 翻訳では「統計的機械翻訳」という手法を採用しています。
翻訳に関するルールを人間側が設定するのではなく、既存の文章(原文+訳文)をデータベースとして、Google 翻訳自身がルールを生成していくという仕組み。
もう少し詳細が知りたい方は、こちらの動画を見てみてください。(下のメニューバーから日本語字幕を表示できます。)
この仕組みのおもしろい点の一つは、小説のタイトルなどの固有名も正確に訳してしまうこと。
例えば、ルイーザ・メイ・オルコットの小説のタイトル『Little Women』を日本語に訳すと、きちんと『若草物語』と変換されました。
従来の機械翻訳なら、ここは『小さな女性たち』のように変換されるところでしょう。
しかし Google 翻訳は、膨大なデータベースの中から日本の一般的な訳題『若草物語』を導き出します。
これはなかなかすごいことですよね。
精度測定のため、他の作品もいくつか試してみました。
Tender Is the Night(邦題:夜はやさし)フランシス・スコット・フィッツジェラルド(1934)
<変換結果>
Tender Is the Night → 夜はやさし
Tender Is the Night → 夜はやさし
「夜はやさしい」などと変換されてもよさそうなものですが、きちんと「やさし」で止まっています。
The World According to Garp(邦題:ガープの世界)ジョン・アーヴィング(1978)
<変換結果>
The World According to Garp → ガープの世界
The World According to Garp → ガープの世界
こちらも「ガープによる世界」などと変換されてもよさそうなものですが、きちんと「ガープの」になっています。
Never Let Me Go(邦題:わたしを離さないで)カズオ・イシグロ(2005)
<変換結果>
Never Let Me Go → わたしを離さないでください
Never Let Me Go → わたしを離さないでください
さすがにここまで最近の作品になると、表記にゆらぎが見られます。
このゆらぎがなくなり、表記が固定されたら真の古典になる、と言ったら言い過ぎでしょうか?
ある意味、非常に客観的な指標であることは確かでしょう。
いずれにしても『わたしを離さないで』は、いつの日か古典になるであろう傑作なので未読の方はぜひ。
わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫)
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