「ぶり」の使い方を考えてみる

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いきものがかり、1年ぶりのシングルをリリース。

日本語でよく使うこのような「ぶり」。

今回はこの「ぶり」の用法を整理してみたいと思います。

ぶり【振り】

〔時間を表わす語に付いて〕(期待される)その事態が実現するまでに、予測される以上のそれだけの時間が経過することを表わす。

『新明解国語辞典 第七版』

「ぶり」には思ったよりも時間がかかってしまったというニュアンスがあるんですね。

たしかに1年かかるのが当然のときに、1年ぶりと言うことはありません。

「1年ぶりの誕生日」などと言ったらおかしなことに。

また日本語では「○○ぶり」と言われたときに、いったいどれくらいの期間が空いたのかよくわからなくなってしまうケースもあります。

今日は3日ぶりの青空だなあ。

Q: この場合、前回晴れたのはいつでしょう?

A: 今日が5月5日だとすると、前回晴れたのは5月2日。5月3日と4日の二日間は雨(曇り)だったということになります。

読売ジャイアンツ、2年ぶりの日本一!

Q: この場合、前回日本一になったのはいつでしょう?

A: 今年が2014年だとすると、前回日本一になったのは2012年。2013年は日本一を逃したということになります。

つまり2年ぶりとは言っても、日本一を逃したのはわずか1回なんですね。

ここで冒頭の例に戻って、

いきものがかり、1年ぶりのシングルをリリース。

とは言えても、

読売ジャイアンツ、1年ぶりの日本一!

と言うことはできません。

野球の日本一というのは、どう頑張っても1年に1回しかなれないもの。

2013年と2014年に日本一になれば、間に1年空いたとしても連続日本一。

このようなときに「ぶり」を使ってしまうと、おかしな表現になってしまいます。

日本語ネイティブならこのあたりは感覚的に使い分けていると思うのですが、きちんと説明しようとするとなかなか難しいですね。