『そして、僕はOEDを読んだ』アモン・シェイ著
先日、ジュンク堂の語学書コーナーを何気なく見ていたら、『そして、僕はOEDを読んだ』というタイトルの本を発見。
OED(Oxford English Dictionary)についての本なら面白そうと思って購入してみると、これがど真ん中ストライクの一冊でした!
この本は著者のアモン・シェイさんが、約一年をかけて、世界最大の英語辞書『Oxford English Dictionary』を完読したその記録です。
OEDは、全20巻、21,730ページから成る巨大辞書。
その特徴は、単に英語のあらゆる語彙を網羅しようとするだけではなく、その単語の初出はいつか、どのような文献で使われたのか、またその意味がどのように変遷してきたかという包括的な記述にあります。
つまり単なる辞書というより、英語の歴史書といった方が実体に合っているのかもしれません。
本書『そして、僕はOEDを読んだ』は、著者がOEDを読み進めながら感じたことや日々の記録をエッセイ風に綴った文章と、著者がOEDから抜粋した珍しい単語を交互に配するという構成になっています。
これがまた絶妙のバランスで、我々もOEDを読むという大事業を短時間のうちに追体験することができます。
著者がOEDから抜粋した単語の一部を紹介してみましょう。
- Acnestis(名詞)動物の肩から腰にかけての部分で、かこうと思っても手が届かないところ
- Curtain-lecture(名詞)ベッドにおける妻による夫への小言
- Gymnologize(動詞)インドの哲学者のように裸で議論する
- Hypergelast(名詞)笑うのをやめようとしない人
- Jentacular(形容詞)朝食の、朝食に関係する
- Lectory(名詞)読書のための場所
- Onomatomania(名詞)適切な言葉が見つからなくていらいらしている状態
- Pandiculation(名詞)疲れた時や朝起きた時に、「あーっ」と手足を伸ばす行為
- Quomodocunquize(動詞)あらゆる手段を使ってお金を稼ぐ
- Sesquihoral(形容詞)一時間半続いている
- Tricoteuse(名詞)編み物をする女性、特に、フランス革命の際にギロチン処刑に参列し、たくさんの首が転がっている中でも座って編み物をする女性
- unlove(動詞)愛することをやめる
これらの単語を見て「おもしろい!」と思った方は、ぜひ本書『そして、僕はOEDを読んだ』を手に取ってみてください。
ただし辞書愛がエスカレートして、OEDそのものを読みたくなってしまっても責任は持てないので悪しからず。