フィンランド語学習記 vol.228 − 具格と接格

CB030713

フィンランド語教室77週目のレポート。

今回は以前習った動名詞のおさらいをしつつ、教科書をどんどん読み進めていきます。

フィンランド語学習記 vol.217 − 動名詞の作り方 | Fragments

すると、こんな文に出会いました。

Menen aina jalan työhön.(私はいつも歩いて仕事へ行きます。)
*mennä(行く)、aina(いつも)、jalka(足)、työ(仕事)

今回のポイントは前から3番目にある jalan という単語。

[主格]jalka(足)
[具格]jalan(徒歩で)

具格[-n]というのは「〜で、〜を使って」という意味を表わす格変化。

先生曰く、現在ではこの意味を表すのに接格[-llA]を使うことの方が多いそうです。

よって具格というのは、慣用表現以外ではあまり使われない格なのだとか。

たしかにさきほどの文、もし徒歩ではなく電車で仕事へ行くなら次のような形になります。

Menen aina junalla työhön.(私はいつも電車で仕事へ行きます。)
*juna(電車)
[主格]juna(電車)
[接格]junalla(電車で)

このように接格で「手段」を表わすことができるなら、確かにわざわざ具格を用いる必要はないのかもしれません。

しかしこの具格という形が何となく気になったので、家に帰って『フィンランド語文法ハンドブック』を調べてみると、こんな例文がのっていました。

Haluan kirjoittaa käsin enkä tietokoneella.(私はコンピュータでなく手で書きたい。)
*haluta(〜したい)、kirjoittaa(書く)、käsi(手)、tietokone(コンピュータ、パソコン)

この文では「手で」を意味する käsin は複数具格、「コンピュータで」を意味する tietokoneella は単数接格の形になっています。

[単数主格]käsi(手)
[複数具格]käsin(手で)
[単数主格]tietokone(コンピュータ)
[単数接格]tietokoneella(コンピュータで)

昔ながらの手書きは古い形(具格)、最新のコンピュータ入力は新しい形(接格)というのは何だかおもしろい組み合わせですね。

こんな例文を見ると、具格という珍しい形にもちょっとした愛着が湧いてきます。