フィンランド語学習記 vol.243 − そこにあるものは、どこにある?
前回のフィンランド語学習記では「ここ、あそこ、そこ」のように場所を指し示すフィンランド語をまとめました。
フィンランド語学習記 vol.242 − ここ、あそこ、そこ | Fragments
täällä ここで/に |
tuolla あそこで/に |
siellä そこで/に |
フィンランド語で「そこで/そこに」は siellä(スィエッラ)。
しかしその後、あれこれ考えているうちに、フィンランド語の siellä と日本語の「そこ」は適用範囲が異なるのではないかと思えてきました。
Wiktionary による siellä の語義は次のとおり。
siellä
(static) there (when the speaker does not point at the place)
『Wiktionary』
siellä は、話し手がその場所を直接指し示していないときに使うとのこと。
これに対して、日本語の「そこ」は、直接指し示しているときにも使うことができます。
A:きのう、電車の網棚にカバンを置き忘れちゃって。
B:え!
A:そこに財布や家の鍵も入ってたので、もう最悪。
A:ねえ、そこにあるマフラー取って。
B:あいよー。
それでは、話し手がその場所を直接指し示しているとき、フィンランド語ではどんな単語を使ったらよいのでしょう?
調べてみると、さきほどの表(↓)で siellä の隣にあった tuolla を使うようです。
täällä ここで/に |
tuolla あそこで/に |
siellä そこで/に |
Wiktionary による tuolla の語義は次のとおり。
tuolla
at that, on that (when the speaker points at something).
『Wiktionary』
tuolla は、話し手が何かを直接指し示しているときに使うとのこと。
これに対して、日本語の「あそこ」は、直接指し示していないときにも使うことができます。
A:きのう、カフェ・ウルスラでシナモンロールを食べたよ。
B:あー、あそこのシナモンロールはおいしいよね。
A:ねえ、あそこにあるマフラー取って。
B:やだ。遠いし。
こうして見ると、siellä と「そこ」、tuolla と「あそこ」の関係は決して安泰なものではなく、裏には隠された関係があると言えそうです。
しかし、これ以上掘り下げるとドロドロになってしまいそうなので、今回はこのくらいにしておきましょう。