フィンランド語学習記 vol.257 − 過去形の否定文の作り方(1)

photo credit: Daniele Zanni via photopin cc

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以前のエントリーで動詞の過去形の作り方について、三回に分けてまとめたことがありました。

フィンランド語学習記 vol.244 − 過去形の作り方(1) | Fragments

フィンランド語学習記 vol.247 − 過去形の作り方(2) | Fragments

フィンランド語学習記 vol.248 − 過去形の作り方(3) | Fragments

これで過去形はOK!と思っていたのですが、考えてみると否定の形については全く触れていませんでした。

前回のフィンランド語教室でそんな過去形の否定文の作り方を習ったので、以下にまとめておきたいと思います。

 

そもそも現在形の否定文の作り方

まずは現在時制の否定文について、おさらいをしておきましょう。

Minä asun Tokiossa.(私は東京に住んでいます。)
Minä en asu Helsingissä.(私はヘルシンキに住んでいません。)
*asua(住む)

現在時制の否定文は、否定動詞(en, et, ei, emme, ette, eivät)と現在語幹を組み合わせて作ります。

asua(住む)
[現在語幹]asu

肯定 否定
minä asun en asu
sinä asut et asu
hän asuu ei asu
me asumme emme asu
te asutte ette asu
he asuvat eivät asu

まずはこの否定動詞(en, et, ei, emme, ette, eivät)の形をしっかりと押さえておきましょう。

 

過去形の否定文の作り方

英語では、過去形の否定文を作るときに、動詞ではなく助動詞の部分が過去形になります。

I don’t live in Helsinki. Minä en asu Helsingissä.
  ↓    ↓
I didn’t live in Helsinki. Minä              Helsingissä.

 

よってフィンランド語の場合も、何となく否定動詞(en)の形を変えるのかな?と思ってしまいますが、さにあらず。

変化するのは現在語幹(asu)の方です。

I don’t live in Helsinki. Minä en asu Helsingissä.
  ↓    ↓
I didn’t live in Helsinki. Minä en asunut Helsingissä.

 

この asunut は過去分詞と呼ばれる形。

つまりフィンランド語の過去形の否定文というのは、否定動詞(en, et, ei, emme, ette, eivät)と過去分詞を組み合わせて作ります。

否定動詞は現在も過去も共通ですから、過去分詞の形さえ覚えれば、過去形の否定文を作れるということになりますね。

ただし過去分詞の作り方は動詞のタイプによってやや異なるので、タイプごとに場合分けしながら見ていきたいと思います。(といってもそんなに複雑ではありません。)

タイプ1 2つの母音で終わる動詞
タイプ2 [dA]で終わる動詞
タイプ3 [lA, nA, rA, stA]で終わる動詞
タイプ4 [AtA, OtA, utA]で終わる動詞
タイプ5 [itA]で終わる動詞
タイプ6 [etA]で終わる動詞

 

過去分詞の作り方 − タイプ1の動詞

タイプ1は2つの母音で終わる動詞。

このタイプは、語尾の[-a/-ä]を外すと現在語幹が得られます。

[辞書形]antaa(与える)
→[現在語幹] anta

この現在語幹に、主語が単数なら[-nut/-nyt*]、複数なら[-neet]を付けると過去分詞のできあがり。

*動詞に[a, u, o]が含まれていれば[-nut]、含まれていなければ[-nyt] 。

antaa(与える)
[現在語幹]anta
[過去分詞]antanut / antaneet

現在 過去
肯定 否定 肯定 否定
minä annan en anna annoin en antanut
sinä annat et anna annoit et antanut
hän antaa ei anna antoi ei antanut
me annamme emme anna annoimme emme antaneet
te annatte ette anna annoitte ette antaneet
he antavat eivät anna antoivat eivät antaneet

ここで面白いのは、肯定の過去形でポイントになっていた過去形の印[i]を使わないということ。

実際、過去形の否定を作るときに必要なのは現在語幹(anta)であって、過去語幹(antoi)ではありません。

また一点注意すべき点は、この過去分詞を作るときには kpt の変化が起こらないということ。
(=annanut / annaneet にはならない。)

楽と言えば楽なのですが、慣れるまでは少しこんがらがってしまうかもしれません。

以上、まずはタイプ1の動詞を使った過去形の否定文の作り方をまとめてみました。

長くなったので、タイプ2以降は明日のエントリーにて。