三つの冬
本日は12月29日ですが、みなさんは冬のどのあたりにいるという感覚でしょうか?
前半? あるいは真ん中?
現代のカレンダーでは、一般的に冬は12月〜2月の三か月とされています。
そのように考えれば、今は冬の三分の一が終わったところ。ここからが本格的な冬の始まりです。
日本語にはそんな冬の三分の一を表わす単語があります。
さんとう【三冬】
〔陰暦で〕冬季の三か月間。〔孟冬(モウトウ)=十月、仲冬=十一月、季冬=十二月の総称〕
『新明解国語辞典 第七版』
陰暦の10月〜12月というのは、陽暦の11月下旬〜2月下旬に当たります。
だとすると、本日12月29日は「仲冬」の前半あたりになりますね。
それぞれの冬を見出し語としても見てみましょう。
もうとう【孟冬】
〔昔の本の序文や刊記などで〕冬の初め。〔陰暦では十月を指す〕
『新明解国語辞典 第七版』
孟は「初め」を意味し、孟春(もうしゅん)、孟夏(もうか)、孟秋(もうしゅう)という表現もあります。
ちゅうとう【仲冬】
〔古〕冬の半ば。〔陰暦では十一月を指す〕
『新明解国語辞典 第七版』
仲は「半ば」を意味し、仲春(ちゅうしゅん)、仲夏(ちゅうか)、仲秋(ちゅうしゅう)という表現もあります。
中秋の名月の「中秋」は「仲」ではなく「中」の方。旧暦8月15日の月を意味します。
仲秋の名月と書いた場合は8月の月という意味になるよう。
きとう【季冬】
冬期が終りに近づいた陰暦十二月。
『新明解国語辞典 第七版』
季は「終わり」を意味し、季春(きしゅん)、季夏(きか)、季秋(きしゅう)という表現もあります。
季という文字は、季節の季のように春夏秋冬そのものを指すこともありますし、季冬の季のように春夏秋冬の終わりを指すこともあるんですね。
以上、今回は日本語の中の三つの冬を取り上げてみました。
冬はまだまだ続きます。暖かくして、よいお年をお迎えください。
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