『グレープフルーツ・ジュース』オノ・ヨーコ

15010201

世界中のすべての時計を二秒ずつ早めなさい。

誰にも気づかれないように。

(Make all the clocks in the world fast by two seconds without letting anyone know about it.)

オノ・ヨーコ『グレープフルーツ・ジュース』より

久しぶりに、オノ・ヨーコさんの『グレープフルーツ・ジュース』という詩集を読み返しました。

この詩集の初版はオノ・ヨーコさんが、まだジョン・レノンと出会う前の1964年に出版したもの。

手元にあるのは、その初版を編集し、さまざまな写真家によるモノクロームの写真を添えた1993年の再発版。

冒頭に紹介した一節のように、全てが命令形で書かれたこの詩集はジョン・レノンの「イマジン」のインスピレーションの源となりました。

思い返してみると、最初にこの詩集に出会ったのは高校生の頃。

あの頃、この本を読みながらどんなことを考えていたのか、思い出そうとしてみるものの全く思い出せません。

今、改めて読んでみると、すっと通り過ぎるページとはっと立ち止まるページがあって、そういった感受性というのは年とともに変化しているのだろうと思いました。

はっと立ち止まるページというのは、この世界の新しい見方を教えてくれるものであったり、何か新しいことをやってみようという気持ちを後押ししてくれるものであったり。

いずれにしても、新しい年の初めに読むのにふさわしい一冊なのかなと思います。

立ちつくしなさい。

夕暮れの光の中に。

あなたが透明になってしまうまで。

じゃなければ

あなたが眠りに落ちてしまうまで。

(Stand in the evening light until you become transparent or until you fall asleep.)

 

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