イバラの妻、山の妻

15020201

ぐさい【愚妻】

自分の妻の謙称。

「新明解国語辞典 第七版」

日本語というのは、身内の謙称が発達した言語。

「愚」ひとつとっても「愚兄」「愚妻」「愚息」「愚弟」「愚妹」など、さまざまな係累に用いることができます。

しかし自分の奥さんを指して「愚」と言うのは何だか抵抗があるなあという人もいるでしょう。(怒られるかもしれないし)

そんな人にはこんな表現もあります。

けいさい【荊妻】

自分の妻の謙称。〔「荊」は、イバラの意。昔、中国後漢 梁鴻(リヨウコウ)の妻が、貧しい時イバラのかんざしと、もめんの裳裾(モスソ)を身につけたという故事に基づく〕

「新明解国語辞典 第七版」

イバラのかんざしとは、想像するだけで痛そうな感じ。

しかし表現として清廉なイメージがありますし、けいさいという音の響きも素敵です。

あるいはこんな表現も。

さんさい【山妻】

他人の前で自分の妻を言う時の称。〔愚妻・荊(ケイ)妻よりも古風な言い方〕

「新明解国語辞典 第七版」

山菜ではなく山妻。田舎育ちの妻という含意があるよう。

東京あたりに住んでいる人は使いづらい表現ですが、田舎の人なら「ウチの山妻が…」なんて使ってみるのも一興(?)

もちろん普段使いには無理があるとしても、こういう古風な表現には捨てがたい味わいがあります。

以上、日本語の妻の謙称を並べてみました。

それにしても「夫」に対する同様の表現が見つからないのは、日本語の不平等なところでしょうか。

 
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