A brief history of melancholy − from TED.Ed

photo credit: scheveningen via photopin (license)

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人が生きている限り、多かれ少なかれ、気分の浮き沈みというものはあるでしょう。

それはそれとして、私たちの心にはいったいなぜ憂鬱な気持ち(melancholy)というものが生じるのでしょう?

TED.Ed の動画「A brief history of melancholy」では、そんな素朴な疑問に答えようと試みています。

melancholy という単語は、黒い胆汁(black bile)を意味する μελαγχολία というギリシア語に由来するのだとか。

melancholy (n.)

c.1300, “condition characterized by sullenness, gloom, irritability,” from Old French melancolie “black bile, ill disposition, anger, annoyance” (13c.), from Late Latin melancholia, from Greek melankholia “sadness,” literally (excess of) “black bile,”…

「Online Etymology Dictionary」

現代に生きる私たちは、憂鬱な気持ちになったとき、その原因を周囲の出来事に求めますが、古代ギリシアでは憂鬱というのは体内を流れる黒い液体から生じると考えられていました。

つまり、憂鬱に捕われている人というのは、この体液のバランスが崩れているのだと。

現代医学においても脳内の化学物質のバランスが崩れることで鬱につながるという説があるそうなので、古代ギリシア説もあながち的外れとは言えないのかもしれません。

動画の中では、この他にも様々な意見や学説が紹介されています。

例えば、19世紀初頭のロマン派の詩人たちは、憂鬱のこんな効用を語っているのだとか。

Melancholy allows us to more deeply understand other profound emotions, like beauty and joy. To understand the sadness of the trees losing their leaves in the fall is to more fully understand the cycle of life that brings flowers in the spring.

冬の厳しさがあるからこそ、春の喜びを理解できる。。もちろん憂鬱の中にいるときには、そんな風に憂鬱の効用を考えることは難しいでしょう。

それでも自分の気持ちというものを少しでも外側から見てみようとすることで、新しい視点や思いがけない気付きが得られるかもしれません。

わずか5分少々の動画ですが、様々な情報がぎゅっと凝縮された質の高いコンテンツだと思います。