ūnus, duo, trēs

人生の持ち時間には限りがあります。

そのため語学の天才でもない限り、一生のうちに学ぶことができる言語の数は限られています。

ただし、よりカジュアルな語学においては、ある言語をマスターすることを目標にするのではなく、少しだけその言語の世界を覗いてみるという楽しみ方もあるはず。

私自身も未知の言語の基本語彙や1〜10の数え方を調べてみることがよくあります。

それでは、さまざまな言語の1〜10を見て来た中で、最も美しい響きの数詞を持つ言語は何か?

と聞かれたら、おそらくラテン語と答えるでしょう。

1 ūnus ウーヌス
2 duo ドゥオ
3 trēs トレース
4 quattuor クヮットゥオル
5 quīnque クィーンクェ
6 sex セクス
7 septem セプテム
8 octō オクトー
9 novem ノウェム
10 decem デケム

 

こうしてラテン語の数詞を並べてみると、英語の月の名前が隠れているのがわかります。

septem(7) → september(9月)

octō(8) → october(10月)

novem(9) → november(11月)

decem(10) → december(12月)

二つずつずれているのは、ローマ暦が出来たときには、冬の期間に名前がなく、一年が March から始まっていたという理由によるもの。

そんなこともあり、ラテン語の1〜10は、現代を生きる私たちにとっても全く馴染みのない文字列という訳ではありません。

しかし ūnus, duo, trēs… と続く数詞を見ていると、例えば旅先で訪れた大聖堂で古い壁画や装飾を見ているような、、、そんな非日常の空間に誘われている気持ちになります。

数詞一つでそんな旅気分を味わうことができるのは、言葉好きの特権かもしれませんね。