英語の再帰代名詞のうち himself だけが「目的格+self」になっている理由とは?

15041201

英語のいわゆる再帰代名詞[-self]を並べてみると、

  • myself
  • yourself
  • himself
  • herself

himself だけが「目的格+self」の形になっています。

主格 所有格 目的格 独立所有格
I my me mine
you your you yours
he his him his
she her her hers

 

これはなぜなのでしょう?

この疑問を解明するため英語史を紐解いてみると、もともとは himself のような「目的格+self」の方が標準だったということがわかります。

中英語(Middle English)の時代には、一人称も meself のように「目的格+self」の形でした。

そこから現在のような所有格が発生した理由としては、

1)me の発音がいつのまにか my に変化した。
2)[-self]が一種の名詞と解され、「所有格+self」の形ができた。
などの説があるようです。

her の所有格と目的格が同じ形であるということも、この問題を紛らわしくした一因なのかもしれません。歴史的に見れば、herself は「所有格+self」ではなく「目的格+self」と考えるべきなのでしょう。

なお複数の場合は、

  • ourselves
  • yourselves
  • themselves

となり、単数と同じく三人称のみが「目的格+self」となっています。つまり単数・複数の間の整合性はあるものの、人称間の矛盾は単数も複数も同じように存在しているということ。

以上、ちょっと不思議な英語の再帰代名詞のお話でした。